第5章 契約
第86話 紅い月
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全体の魔法の能力に付いて問い掛けた意味が判って居ると言う事なのか?」
確かに、ここに来る以前。イザベラにオリアスやデカラビアを召喚した時に、リュティス魔法学院の生徒たちの魔法の実力に関してそれとなく聞いて有るので、そのふたつの質問に関連が有ると言う事はタバサにならば直ぐに理解出来たとは思うのですが……。
しかし、今度も僅かな空白の後、躊躇い勝ちな様子ながらも、首を上下に動かすタバサ。
これは肯定。更に、今、彼女が発して居るのは昔の記憶を思い出そうとしている人間が発する気。
う〜む。気が付かない内に、俺がそれに近い内容を口にした可能性も有りますか。
「今までの魔法学院の生徒は大半がドット。ラインにクラスアップする生徒は稀」
タバサがゆっくりと言葉を紡ぎ出す。
「しかし、ここ数年の生徒は、少しずつ学生の内にドットからラインにクラスアップする生徒の数が増していた」
この辺りはトリステイン魔法学院も、そしてリュティス魔法学院も同じ傾向らしい。オスマン老も、そしてイザベラも同じ答えを口にしましたから。
タバサが少し息を吐く。その彼女の口元も、俺の時と同じように白くけぶった。
「これは、貴方の言う世界の防衛機構が正常に作用した結果と思われる」
そう。俺が知りたかったのはその部分。この世界が本当に破滅が訪れるような危機が迫っているのか、……それが知りたかった。
確かに、現状は色々な事件の結末が、その方向……破滅へと向かって進んで居るように思いますが、それは俺の思い込みに過ぎない事象の可能性も有りますから。
しかし、今日のオスマン老への問いで、その辺りも確認が取れました。
ここ数年の学生の質が上がっているのは、近い将来に未曾有の危機が訪れる可能性を感じ取った人類がその危機に対処する為に……。より多くの人間が危機に対処出来るように、人類自体のポテンシャルを上げようとした結果。
歴史のターニングポイントでは良くある現象。ひとつの時代に優秀な人間が多く現われる事が有るのは、世界が乱れて、それまで日の目を見る事のなかった人間にのし上がるチャンスが訪れるからだけではなく、元々、生命が持って居る危機に対処する能力が発揮されている結果でも有りますから。
そして、それでも足りない部分を補う為に、ジョゼフやタバサなどの特殊な……殆んど先祖帰りに近いような能力者を生み出し、
それまで一切、現世に関わる事のなかった精霊王たちが、現状では歴史の裏でのみ語られるような状況ですが、それでも人間の世界に干渉を開始する。
更に、伝説に過ぎなかった虚無と言う魔法が六千年の時を経て、このハルケギニア世界に復活したのも、その大きな流れの一環の可能性も有りますか。
もっとも、この部
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