第5章 契約
第86話 紅い月
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連れて行くべき事案なのですが、ティターニアと湖の乙女は人類共通の意識と無意識の狭間に対してアクセスを行い、人類に対して今回のロマリアが行おうとしている聖戦に神の意志は存在しない、と言うメッセージを送る……と言う非常に重要な作業が有るので、流石に連れて行く事は出来ず。
さりとて、俺単独で向かい、前回のゴアルスハウゼン村で起きた事件と同等の事件が発生していた場合は……。
流石に、命が幾つ有っても足りない状態と成りますから。
「ブリミル教に関する伝承。万病に効く聖なる泉が湧いているなどと言う事はないのか?」
結局、俺は独りでは何も出来ない、……と言うほど酷くはないけど、それでも式神使いと言う属性からは逃れられない人間だと改めて納得した俺が、次の疑問を口にする。
そう。これから向かう先のガスコーニュ地方のルルドと言う街に対応する地球世界のルルドと言う街は、キリスト教の有名な巡礼地と成って居る場所。
そして、この世界のブリミル教とキリスト教はかなり重なる部分が有るので……。
もし、これから向かう先がブリミル教の聖域と成る地域ならば、それは俺やタバサの行使する仙術とはかなり相性が悪い地域と成りますから。
もっとも、ガリアにはそれほどブリミル教の影響が強い……。俺やタバサの仙術に不都合が生じる程の強い影響を受けて居る地域は、今までにはなかったので今回も大丈夫だとは思いますが。
「わたしの知って居る範囲内で、そのような場所は存在しない」
さして待つまでもなく答えを返してくれるタバサ。その時、既に彼女の容貌の一部と化して居る硝子製品に、何かの光が一瞬、反射する。
その瞬間、俺の耳にバンと言う音が届いた。
「仕舞った、金、金、金、と唱えるのを忘れて仕舞ったみたいやな」
非常に珍しい現象。火球と共に発生した電磁波音と言うヤツを経験出来た事に、少し機嫌の良く成った俺が軽い感じでそう口にした。
そう。進行方向の南西……つまり、正面を向いて居たタバサのメガネに反射した光はおそらく流れ星の光。そして、流れ星から発せられた電磁波音を俺が感じたと言う事は、この流れ星は彗星の欠片などではなく、遙か彼方。アステロイドベルトからやって来た小惑星と言う事。
おそらく、大地に落ちる事もなく空中で燃え尽きたと思いますし、衝撃波の類を感じませんでしたから、落下したとしても、ここからはかなり離れた場所に落ちたと思いますね。
もっとも、こんな無粋な科学的考証など必要はないぐらいに、世界は美しい物だと理解させられたのですが。
シベリア製の天然の冷凍庫に因って冷やされたビロードの蒼穹には、この季節の大気と同じ質の美貌を見せる蒼き女神の姿を中心に、様々な神話や伝説を生み出した星々の輝きが。
そして、俺の正面には
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