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皇太子殿下はご機嫌ななめ
第56話 「くたばれ、皇太子!! (ラップ心の叫び)」
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が凄すぎるぞ。専制主義の中で育ったとは思えん」
「洒落になってないでしょう? そんな相手なんですよ、あの皇太子は」

 通りでヤンの奴が、思いっきり警戒しているはずだ。
 民主主義国家に生まれて、専制主義の皇太子に成り上がったと言われた方が、まだ理解できる。フォーク大佐がホーランド少将に向かって、文句をぶちまけたと聞いたが、その理由がようやく理解できた。どうしろというんだ。
 まともにやりあって勝てる気がしないぞ。
 サンフォード議長が胃薬を常備しているはずだ。俺も胃が痛くなってきた。
 腹いたい。どうしよう。

「先輩、大丈夫ですか? 顔色悪いですよ」
「だ、大丈夫だ。ところでお前さん、良く平然としてられるな」
「俺だってようやく持ち直したんですっ!! それを言うならヤン先輩の方が凄いですよ。ハイネセンに帰ってくるなり、皇太子に関する本を読み始めたんですから」
「そうか……くたばれ、皇太子!!」
「いきなりどうしたんですかっ!!」

 アッテンボローは呆気に取られているが、こうでも言わなければ、やってられない気分だ。

 ■ノイエ・サンスーシ フリードリヒ四世■

 新しい人材を掘り起こすべく、面接をしているが、中々これはという人物がいない。
 そして今日も今日とて、ルードヴィヒからダンボールで書類が回ってくる。
 うぬぬ、奴め、余を過労死させるつもりかっ!!
 なんというひどい息子だろう。年老いた父親をこき使うとは……。
 大神オーディンが許しても、余は許せぬ。

「のう。そう思うであろう」

 執務室に居並ぶ女官達に言ってはみたものの、誰一人として返答しようともせぬ。
 がっでむじゃ。
 さらにリヒテンラーデなどは、あからさまに白い目をしておる。
 それが皇帝に対する態度かっ。
 不敬にも程があろう。
 酒も飲ませて貰えぬし……。

「今までが飲みすぎだったのですぞ。少しはお控え下され」
「余は酒が好きじゃ。それがどうした文句があるか」

 そう喚いていると、扉がいきなり開いて、余の不肖の息子が顔を見せた。
 しかも入ってくるなり、

「がたがた喚くな」

 そう言ってくる。書類の詰まったダンボールに足を掛け、ふんぞり返る姿はまるで、悪鬼の如き様子であった。
 余の息子は鬼じゃ、悪魔じゃ。血も涙もないわー。

「働きたくない。働きたくないのじゃー」
「働かざるもの、喰うべからず」
「働くぐらいなら、喰わぬ!!」

 どうじゃ言い返してやったわ。
 ルードヴィヒのあの呆れたような顔。余は何か大事なものを失ったような気がするが、そのような瑣末な事は関知せず。それが皇帝というものじゃ。

「ラインハルト、ジーク。聞いたか、今のセリフを」

 ルードヴィ
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