第56話 「くたばれ、皇太子!! (ラップ心の叫び)」
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い。
特に専制主義国家である銀河帝国を立憲君主制に移行しようとしている。その部分は民主共和制に至る前段階として、静観を保つべきではないかという主張がなされていた。
何事も一足飛びには行えないのだから、その主張には一理あると思う。ただ皇太子を口汚く罵っているものは、一足飛びに民主共和制に移行しない事を罵るという現実離れしたものだ。
「ヤン先輩は皇太子が、本当に立憲君主制に移行する気があると考えているみたいです」
「なるほど」
「ただそれは、まだまだ先の話だろうとも言っていますがね」
「うん、そうなのか?」
「ええ、帝国改革がある程度形になるまでは、強権を手放すわけにはいかないだろうと」
その辺りは簡単に言える話ではないな。
現状は皇太子が強権を振るっているからこそ、うまくいっているのだし。
「しかしあの皇太子が強権を手放すタイミングを間違えると、なりたくないルドルフのようになってしまうかもしれないとも言ってますね」
権力を手放すタイミングか……。
あの皇太子の判断力と決断力がうまく機能してくれていれば良いんだが。
今はまだ若いから、判断力や決断力も衰えていないが、年寄りになってからでは難しいかもしれないな。頭の痛い問題だ。
「立憲君主制に移行しようとしているのは、帝国を背負いきれる人物が、中々いないからじゃないでしょうか?」
「うん? どういう事だ?」
ふいにアッテンボローがそんな事を言い出す。
帝国を背負いきれる人物か……。
「あの皇太子なら帝国を背負いきれますよ。ですが皇太子以外に現実問題、帝国を背負える人物はいないでしょう?」
「確かにな……」
「だったらいなきゃいないで、なんとかできる体制をとる。あの皇太子ならそう考えているでしょう。そういうタイプだと思いますね」
「ああーそういや、アッテンボローも皇太子と会ったことがあったな」
「ありゃかなりシビアな男ですよ。戦争だってやらずにすめば、それに越した事はない。ただ同盟側がぐだぐだしてるんなら、さっさと統一してまとめてしまいたい。今のままじゃ同盟に引きずられて帝国まで、にっちもさっちも行かなくなる。それが見えるだけに案外、同盟の態度にイライラしてるかもしれませんね」
「民主主義に対する反発みたいなものは?」
「あーそりゃないです」
アッテンボローが顔の前で大げさに手を振った。
その態度に呆気に取られてしまう。だがアッテンボローは実際はもっと厄介かもしれませんよと、言いたげだ。
「そうなのか?」
「専制主義も民主主義も等しく一長一短ある。そう考えていますね。運用する人間次第。かなり割り切った考えをしているようです」
「本当に専制主義国家の皇太子で、宮廷育ちなのか? 俺達より民主主義に対する見識
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