暁 〜小説投稿サイト〜
打球は快音響かせて
高校一年
本格的始動、そしてつまずき
[4/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
入る。背も高いが、その太もも、尻、胸板、その幅の大きさにも目を奪われる。これで1年だと言うのだから、たまげてしまう。

(高垣か…ジャイアンツカップ準優勝の青葉シニアの3番。俺自身はボーイズなのに聞いた事があるレベルだ。こいつと…)

宮園はチラ、とネクストに控える打者を見る。こちらも高垣に負けず劣らずの体格だが、膝にキャッチャーのレガースをつけている事と、ヘルメットの中に覗く顔が高垣よりもずっと端正である部分が違っていた。

(…花岡。1年から強打帝王大の3・4番とは、凄いねぇ。青葉シニアと帝王大の野球が似通ってるってのもあるけど)

宮園は視線をマウンド上の鷹合に戻した。
股の下からサインを送る。鷹合はすぐに頷いた。

(…まずはお手並み拝見)




カーーン!!
(…マジかよ)

初球の外寄りのストレートに、足を大きく上げてタイミングをとった高垣はバットを一閃。打球は右中間を真っ二つに破っていった。
かなり深めに守っていた外野からボールが返って来る頃には、高垣は悠々二塁へ。
二死から同点のランナーが出た。

(甘い球とはいえ、鷹合の真っ直ぐを初球からいとも簡単に引っ張れるって、一体どんなパワーしてやがるんだ)

宮園は呆れるしかない。
そして打順は4番へ。

<4番・キャッチャー花岡君>

花岡寛樹はシニアの国家代表に選ばれた強肩強打の捕手として、高垣以上にその名が知れ渡っている。花岡は右打席で背筋を伸ばし、大きな体を更に大きく見せる上段の構えで投球を待つ。

(初回から勝負を逃げるのもアレだが…しかしこいつとは安易に勝負しない方が良いかな。一塁が空いてるし。)

帝王大打線の中でも、花岡の迫力は随一である。
そして宮園は、真っ向勝負を是とするような価値観をさらさら持ち合わせていない、今時の捕手だった。

宮園のミットは外。ボールゾーンへのスライダーで様子を見る。ストレートを打たれた後のスライダーを狙ってくるかもしれないし、そしたらボール球を打ってもらえる。

鷹合がセットポジションから投じたスライダーは、大きな変化を描いてボールゾーンへ。
花岡は高垣のように大きく振り子気味に足を上げたトップから、バットを振り下ろす。
そのバットはボール球のスライダーにも届いた。

カーン!

鋭い打球が一、二塁間を破る。
外野は二死二塁ながらも深めに守っていたので、二塁ランナーの高垣が悠々とホームイン。
1-1の同点となった。

(…少し高かったとは言え、外にボール二つは外れていたぞ?何であんなに簡単に打てるんだよ。)

宮園は一塁ベース上で端正な顔を綻ばせる花岡を恨めしげに睨む事しかできない。
初回で十分わかった。こいつらは強い。ポテンシャルでは、自分達は足下
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ