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打球は快音響かせて
高校一年
本格的始動、そしてつまずき
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。私もまだまだ、生徒を見る目が足らないようだ」

浅海はニッと笑った。
翼もそれに応えてニッと笑った。



ーーーーーーーーーーーーー



「軸足を…蹴らない!」

ブンッ!

翼は練習後、夜の寮の前でガラスに姿を映してシャドーピッチングをしていた。
浅海からはいくつかのアドバイスをもらっていた。軸足は蹴らない方がリリース時に腕が自然と前に伸びること、開くなというのは基本的には肩の事で足のクロスステップは禁物だということ、
リリースは球を押すのではなく潰すのだという事、などなど。ここまで具体的な指導はされてこなかったから、翼にとっては初めて「練習についていく」以上の課題が出来たのだった。

「最近お前、頑張っとーな」
ブンッ!

翼の隣では、同じようにガラスに姿を映して渡辺が素振りをしていた。小柄ながらそのスイングは鋭くパンチが効いている。渡辺は鷹合、宮園らと共に特待生だけあって、夏休み中の練習試合でも殆どスタメンで起用されており、直近では遂に一試合目(ベストメンバー)のスタメンにも抜擢された。

「帰省中に、何かあったんか?」
「いや、何も。でも、期待だけは感じたから」
「そうか。ほら、頑張らないけんな。」

ブンッ!
ブンッ!

翼の左腕と、渡辺のバットが同時に空気を切り裂く。

「うぉおおおおおおお」
「負けんけんなぁああああ」

校舎の方から、競って階段を走りこむ鷹合と美濃部の奇声が聞こえてきた。

「おい!うるさいぞバカ!やるなら黙々とやれ!」

浅海の怒鳴り声もした。
青春の真っ只中、15歳の夏休みの夜のこと。



ーーーーーーーーーーーーー



あっという間に夏休みは過ぎた。
私学の三龍は、公立に比べてその休みも短い傾向がある。

「ヨッシー…」
「いやー、焦げたな」

休み明け最初の学校で、大江と山崎が翼の顔を見て呆れた。
翼の顔は真っ黒、火傷かと思うくらいに日焼けしていた。

「…久しぶり。」

ニッと笑った、その歯だけがピカピカと白く輝いていた。



ーーーーーーーーーーーーーー



「これ、厳しくね?」
「……」

高校野球には、甲子園につながる大会は二つある。一つは夏の甲子園を目指す夏期地区選手権大会と、もう一つは春の甲子園へとつながる秋季大会だ。

大都市圏・水面地区の参加校は143。
ノーシードの秋の大会だと、東豊緑大会に進む為にはベスト4進出、最低6勝が必要になる。

そして、この日判明した三龍の秋の大会の初戦の相手は…

帝王大水面。
水面地区私学3強のうちの一角だ。大学附属という事もあって、部員数は地区最多の93人(2学年)。最近水面海洋に押され気味だが、そ
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