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ティアが帽子を外すのは、限られた時だけだ。
その時の服装―――化猫の宿で作られた服等―――に似合わない時、戦いの邪魔―――レーサーとの戦いの時等―――になる時、勿論寝る時等は外している。
が、それ以外で帽子の無いティアを見るのは、初めてハルジオンで会った時ぐらいなものだ。
「・・・帽子を被ってれば、人と目を合わさなくていいから」
「そっか、ティアって人と目が合うの苦手?」
「苦手な訳じゃないけど好きじゃないわ。何か・・・全てを見透かされるような気がして」
「え?」
全てを見透かされる――――――。
その言葉を放った時だけ、ティアの声が変わった。
軽やかなソプラノボイスであるのは変わらないのだが、それを彩る感情や声色がいつもと違ったのだ。
ティアも言ってから気づいたのか、ハッとしたように目を見開く。
「・・・悪いけど、用事を思い出したから。続きは明日にでもして」
「あ、うん・・・解った」
ショルダーバックに本を戻して引っ掴むと、カツカツとブーツのヒールを鳴らしながら、ティアはギルドから出て行った。
その背中に違和感を感じながら、ルーシィはメモの表紙を戻し――――
「・・・あれ?」
気づいた。
ティアの様子がどこか変な事ではない。
いつもなら、こんなスムーズに会話が成立して、スムーズに会話が終わるはずがない。
それはティアが何も答えてくれないから、ではなく。
“いつもなら聞こえるあの声がないから”だ。
「ルー?」
「くしゅん!」
一方、マグノリアを目的もなく歩いていたルーは突然立ち止まり、くしゃみをした。
辺りを見回し、首を傾げる。
「おかしいなー、誰かに噂されてるのかと思ったのに・・・」
どうやら近くで噂されたと思っているようだ。
実際にはギルドでルーシィが名前を呟いただけなのだが。
冷えてきたのか小さく震え、ルーはくるっと背を向ける。
(ギルドに行けば、ミラがあったかい物作ってくれるよね)
確か今日はアルカとのデートの予定はない。
デートがある日はカレンダーの数字が書いてある右下にピンク色のペンでハートマークが描かれているが、今日は何の印もなかったはずだ。
だったらミラがいるはずだと考え・・・何かが足りない事に気づく。
(そーだ。なんか物足りないと思ったらルーシィに会ってないんだ)
そう思った瞬間に浮かぶのはルーシィの顔。
1秒もかからず、髪の跳ね具合やリボンの皺といった細部まで鮮明に思い出せるのは相当惚れてる証拠だね、と思いながら、ルーは頬を緩ませる。
「ん?」
今にもスキップしそうな軽い足取りでギルドへと向かっていたルーは、ふと足を止めた。
今
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