暁 〜小説投稿サイト〜
ちょっと違うZEROの使い魔の世界で貴族?生活します
本編
第39話 嘘吐きは最低?つまり私は最低です
[8/14]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
くなります。歩く等の軽い運動をして、体力を付ければ球が膨らみ辛くなります」

「……治療法は?」

 公爵とカリーヌ様が、理解する間を十分取ってからカトレアが問い掛けて来ました。

「治療法は三つです。一つ目は、この球を物理的に体外へ摘出する事です。カトレアの体を切り、周囲の体組織ごと切り取ってしまいます。リスクは、死や重度の後遺症が残る可能性が、非常に高い事です。成功しても、治療法が公になれば異端扱いです」

 ここでカトレアは、首を横に振りました。公爵とカリーヌ様も、眉間に皺を寄せています。

「二つ目は、精霊による治療です。精霊をカトレアの体内に侵入させ、球を体外に運び出してもらいます。この治療法は、死や後遺症のリスクはありません。しかし、この治療法が公になれば、一つ目以上に不味い事になります。……後は、精霊を説き伏せられるかが問題ですね。私はこの治療法が、一番良いと考えています。(実は性魔術で解決して、この治療法と偽る心算です)」

 カトレアは頷いて居ましたが、喜びを隠し切れずニコニコと笑顔がこぼれています。公爵とカリーヌ様は、一瞬だけ眉間に皺が寄りましたが、カトレアの顔を見て同時に溜息を吐きました。

「そして、三つ目です。これは……」

 私はそこで言葉を止めてしまいました。(本当に言っても良いのか?)と言う迷いが、如何しても拭い去れないのです。

「ギル。……言って」

 カトレアに促されて、私は頷きました。

「ディスペル・マジック《解除》と言う魔法による治療です。この魔法で球を分解除去すれば、カトレアは完治します。これもカトレアの身体上のリスクはありません。ただ問題なのは、この魔法が伝説の系統である“虚無”だと言う事です」

 私の言葉に、カトレアが真剣な表情で頷きました。公爵とカリーヌ様は、“虚無”と言う言葉に反応しましたが、現実味が無いと判断したのか私達の誓いを(おもんばか)ったのか、口を挟んで来ませんでした。

「ギルバート。カトレア。私とカリーヌは、今の話を偶然(・・)聞いてしまった。知ってしまったからには、私達には隠す必要は無い。これ以上病の原因と治療法について、聞きも聞かせもせんと誓おう」

 そして、公爵はカリーヌ様に目で合図しました。カリーヌ様は頷くと……。

「私も、聞きも聞かせもしないと誓うわ」

 誓ってくれました。

「精霊による治療を、絶対に成功させてくれ」

 公爵とカリーヌ様は、虚無魔法による治療をスルーして、精霊による治療で解決すると認識した様です。その認識では正否以前に、最後の話に繋がりません。

「はい。全力を尽くします。しかし、事は精霊の矜持に反する事です。精霊が聞き入れてくれる可能性は、決して高いとは言えません」


[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ