第六十話 ハロウィンの前にその五
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「日本もよくなるからな」
「巨人が負けるととか言う人いますけれど」
「あれは間違いなんですね」
「ああ、逆だよ」
まさにだ、正反対だというのだ。
「巨人が勝っても景気はよくならないだよ」
「そういえば巨人が優勝しても景気変わらなかったですね」
「不景気な時でも」
「別に何の影響もなくて」
「勝ってはい、終わりでしたね」
「それだけでしたね」
「巨人は只の新聞だからな」
親会社がそれである、読売ジャイアンツという。尚ここに地域の名前が入っていないこともまた巨人らしいことである。
「新聞がはしゃいでもな」
「何も景気に影響しませんね」
「別に」
「けれど阪神が優勝したらな」
それこそだ、応援している全ての企業がなのだ。
「バーゲンしたり安売りしてな」
「皆はしゃいでお金を使ってですよね」
「一気に景気が変わりますよね」
「それが火元になって」
「それで」
「そういうことだよ、阪神が勝つと景気がよくなるんだ」
巨人ではなく、というのだ。
「巨人が負けたら日本がよくなってな」
「ですね、じゃあシリーズも勝利を期待して」
「応援ですね」
「ロッテガムを噛んで景気つけろよ」
先生は琴乃とは逆のことを言った、ロッテについては。
「負ける相手にも敬意を忘れるなよ」
「ロッテガムを買ってロッテの売上も上げるんですね」
「そうしろっていうんですね」
「武士の情けだよ」
もう日本一になったつもりだった、先生は。
「チョコレートも買ってやれよ」
「はい、わかりました」
「それならですね」
「ロッテガム買いますね」
「チョコレートも」
こうした話も授業中で行う彼等だった、最早学園の中はシリーズ一色だった。それは琴乃達も同じだった。
ハロウィンライブの準備も進めながらだ、部長も何と黒と白の縦縞のジャージの上下で部活に出てこう言うのだった。
「優勝祈願よ!」
「それでそのジャージなのね」
「猛虎ジャージできたのね」
「そうよ、しかもね」
同級生達にドヤ顔で応えながらだった、部員達に背を向けると。
数字があった、6である。
「これよ、これ」
「兄貴ね」
「あんた兄貴好きだからね」
「金本兄貴は最高よ」
引退したがそれでもだというのだ。
「最高の選手だったからね」
「それでその番号なのね」
「6なのね」
「6もいいしね」
それにだというのだ。
「7、16、22、28、31、44もね」
「永久欠番ないじゃない」
「あれは付けないわよ」
10、11、23はというのだ。
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