第六十話 ハロウィンの前にその三
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「しかし今の西武はな」
「時々優勝しますけれど」
「普通のチームですよね」
「伝統的に守備が悪い」
かつてはまさに鋼鉄の守備だったがだ。
「あれじゃあな」
「というか先生西武に詳しいですね」
生徒の一人がここでこう指摘した。
「ひょっとして」
「ああ、お袋がファンなんだよ」
「関西人なのにですか」
関西で西武ファンは少ない、その長い無敵の黄金時代でも関西に西武ファンはそれこそはぐれメタルより少なかった。ファイナルファンタジー3のドラゴンよりは多かったであろうが。
「西武ファンですか」
「ちょっとないですね」
「阪神ファンだけれどな」
セリーグはそっちだというのだ、関西では王道だ。
「パリーグは同じネコ科だからな」
「西武だったんですか」
「ライオンズだったんですね」
「そうなんだよ、けれどな」
「今はですか」
「大して強くないから」
「そっちはあまり期待していないんだよ」
パリーグの方はというのだ。
「まあ阪神と西武の対決になったら阪神応援するって言ってるからな」
「西武よりも阪神ですね」
「そういうことですね」
「そうだよ、百獣の王はな」
よくライオンがそうだと言われる、だが関西では。
「阪神だからな」
「ですね、百獣の王が球界を支配するんですね」
「これからは」
「虎の時代だよ」
獅子の時代は二十年も前に終わったがだ。
「猛虎のな」
「それが今からですね」
「はじまるんですよね」
「遂にですね」
「戦後長きに願っていたことが」
「ああ、夢だよ」
夢である、まさに阪神の黄金時代到来は。
「それで日本の黄金時代もな」
「ここからはじまるんですね」
「阪神と一緒に」
「思い出せ、八十五年をな」
生徒達にその年に生まれた者はいないがそれでも言う、何故かこの年のことは生まれていない人間でも知っている。
「あの時日本中が一気に元気になったな」
「猛虎フィーバーですよね」
「バースの」
「様付けは忘れるな」
バースではない、バース様だというのだ。
「あの方がおられたから日本一になれたんだからな」
「それで日本も元気になったんですね」
「阪神の日本一で」
「阪神が勝つと日本はよくなるんだよ」
元気になるからだ。
「気がよくなるからな」
「ですね、病は気からですし」
「元気になるからですね」
「阪神が勝てば皆気がよくなるから」
「日本も元気になりますよね」
「そうなるんですね」
「その通りだ、不況は元気になれば吹き飛ばせる。他の逆境もな」
元気になり働けばだ。
「阪神が勝つと日本はよくなるんだよ」
「巨人じゃないですよね」
「巨人が勝つと日本は悪くなるんだよ」
先生はこの絶対の真理も話した、それも強い声で。
「巨
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