第六十話 ハロウィンの前にその二
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「阪神が勝つな」
「それでこれからですよね」
「阪神の黄金時代ですよね」
「十連覇はしますよね」
「そこまでいきますよね」
「巨人の九連覇は阪神に抜かされる為にあったからな」
先生も言い切る、言葉は既に過去形になっている。
「だからな」
「はい、阪神ですよね」
「まず今のシリーズに勝って」
「それからもですね」
「ああ、勝って勝って勝ちまくるからな」
そうなるというのだ、阪神は。
「それでこっから十連覇だ」
「夢のですね」
「それがはじまりますよね」
「連覇しないとな」
先生は熱い声で語る。
「本物じゃないからな」
「昔の西武みたいにですよね」
「何か凄い強かったらしいですけれど」
「昔の西武な」
ここでだ、先生の目が遠いものを見るものになった。最早過ぎ去ってしまい二度と戻らないものを見ている目だった。
「強かったな」
「何か凄い目してますけれど」
「そんなに強かったんですか」
「無敵だった」
文字通りそうだったというのだ。
「ピッチャーは郭に工藤、二人の渡辺に石井に潮崎、鹿取がいてな」
「ああ、工藤ですか」
「それと渡辺久信ですよね」
「先発も抑えもいてな」
そしてだった。
「ナインがこれまたな」
「清原って最初西武でしたよね」
「そこで四番だったんですね」
「あの頃の清原は打って走れて守れた」
巨人時代と全く違いだ。
「その清原に秋山、デストラーデ、石毛、辻、田辺、平野、伊東、吉竹な」
「その顔触れですか」
「何か今西武にいる人いないですね」
「ああ、皆いなくなった」
野手陣は全員である。
「どっかの球団に行った」
「伊東ロッテですしね」
「今の血は黒だって言ってましたよ」
「今度ぶちあたりますけれど」
「西武は青ですよね」
「ああ、水色だ」
正確に言うとそうなる、スカイブルーではなくライオンズブルーと言うのが正しい。
「水色の戦士達は散った」
「他にも金森もですよね」
「阪神にいましたけれど」
「片っ端から放り出してしかもコーチとかに戻っても放り出す」
これが最近の西武だ。
「気付いたら他のチームに人材がいた」
「奈良原とかですね」
「伊原も一時期巨人にいましたし」
「戻ればいい」
西武にとってはだ。
「しかし放出の仕方が仕方でな」
「皆戻らなくてですね」
「西武の今があるんですね」
「地平を駆ける獅子だった」
西武の応援歌のタイトルにもなっている。
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