第六十話 ハロウィンの前にその一
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第六十話 ハロウィンの前に
軽音楽部のハロウィンでのライブに向けた動きははじまっていた、そして動けばもう速かった。だがその前にだった。
クラスは賑やかになる一方だった、誰もが一つの話題に夢中だった。
「今年こそはな」
「そう、今度こそはね」
「阪神が勝つよな」
「そうなるわよ」
日本シリーズの話題だ、誰もが阪神とロッテの日本シリーズについて熱く語っていた。地元であるだけに余計だった。
「もう甲子園のチケットないよな」
「とっくに完売よ」
「じゃあテレビで観るか」
「それしかないわね」
「ネットもいいわよ」
「ああ、最近ニコニコでも中継してるしな」
どうやって観るかという話にもなっていた。
「今年は打てるからな」
「ピッチャーは相変わらずで」
つまり例年通りいいというのだ、とにかく阪神というチームは伝統的にピッチャーはいいチームだからこのことは誰もが安心していた。
「後どれだけ打てるか」
「エラーがないか」
「エラーなあ」
野球には付きもののこのミスの話にもなる。
「あれまずいよな」
「結構阪神ってここぞって時にエラー出るから」
「今年は十二球団でエラーも一番少ないけれどな」
それは即ち守備に安定があるということだ。
「ナインの守備範囲も広いし」
「そうそう崩れないだろ」
「やっぱり守備がいいチームは強いわよ」
野球の守備はピッチャーだけではない、ナインの守備も重要なのだ。つまり守備はこの二つから成るものなのだ。
「守備が悪いとね」
「ピッチャーがよくてもナインが駄目だとな」
「万全じゃないから」
「だからだよな」
「そう、そっちの守備もいいから」
「心配いらなんじゃない?」
こう話がなされる、守備面についても。
「昔の西武みたいだから」
「ああ、森監督の頃な」
「あの頃な」
無敵と言っていいまでに強かった八十年代後半から九十年代前半の西武だ、この頃の西武百貨店は秋になると毎年バーゲンで大忙しだった。
「守備も凄かったからな」
「もう鉄壁のナインで」
「打つ方も凄かったけれど」
こちらはクリーンナップに秋山、清原、デストラーデがいた、三人共勝負強くかつ長打もあった。清原にもこんな時代があったのだ。
「今の西武とは違って」
「今の西武の守備はなあ」
あの頃と比べると見る影もない、エラーがとかく多い。
「しかし今の阪神は違うからな」
「絶対に勝てるな」
「守備もいいから」
「攻守共によし」
「ピッチャーも完璧じゃない」
「じゃあ今年こそはロッテに」
「雪辱だよな」
皆こうした話ばかりだった、それは生徒達だけでなく職員室も同じだ。先生も授業中ふとこんな話をする位だった。
生徒達にだ、こんなことを
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