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渦巻く滄海 紅き空 【上】
三十  狐雨
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まさか、)
思い当る節がありすぎて、自来也は思わず息を呑んだ。少年の肩を勢いよく掴む。
「その子の髪の色は!?」
「金髪だよ」
少年の答えに自来也はさっと青褪めた。再不斬が横から口を挟む。
「ほら。だから言ったろう?俺よりも内に気を配れって…」
彼の横槍に耳を貸さず、自来也は急ぎその場を後にした。
再不斬を相手にするためのチャクラも時間すらも惜しかった。ましてや捕まえるなど、自来也の頭からはすっかり抜けていた。少年が指し示した方向に向かって走り出す。







丘からあっという間に遠ざかった自来也。その後ろ背中を見送りながら、少年は「上手くいったでしょ?」と再不斬に笑いかけた。

「先輩を探す時に今の人をよく見掛けてさあ。よく金髪の子といるからああ言えば絶対動くと思ったんだ」
もっともいつも一緒にいる子じゃないけどね、と軽い調子で話し続ける少年に、再不斬は眉を顰めた。

自来也に伝えた金髪の女の子が波風ナルのことを指しているのならば、『柄の悪い男達』というのは不適当だろう。故に思わず話を合わせたのだが、実際このガキは何者なのか。

「てめえ……」
「あ!自己紹介が遅れたね」
くるんと大袈裟な身振りで少年は再不斬に向き合った。

「ボクは水月。再不斬先輩、さっきのお礼はその首切り包丁でいいよ」

無邪気に瞳を輝かせながら、少年――水月は再不斬を見上げた。霧忍特有のギザギザの歯が覗き見える。
いっそ憎たらしいほどの笑顔だった。















「起きた?」
「んん…」
ナルトの呼び掛けに、ナルは身を捩った。目をこすりながら、「眠っちゃってたのかってば…」と小首を傾げる。日はすっかり暮れて、滝の傍に連なる岩の節々は鬱金色を帯びていた。

「修行で疲れてたんだよ。今日はもう止めにしたら?」
「ん…。ん〜ん。もうちょっと…」
未だうとうととまどろみながらも、ナルは頑なに印を結ぼうとした。そんな彼女に苦笑し、ナルトは「何の印を結ぶつもりなの?」と訊ねる。
「ん〜…。【口寄せ】…。蛙を呼ぶんだってば…」
「だったらこの時、指はこうだよ」
夢現にナルはナルトの指導を素直に聞いた。彼に促され、印を結ぶ。
いつも以上にチャクラが上手く巡っている事に、寝起きの彼女は全く気づかなかった。九尾の件もあるだろうが、ナルトが秘かに点穴を突いたため、チャクラの循環が向上しているのだ。

「【口寄せの術】!!」

ナルがそう言うや否や、ぽんっと軽い破裂音がした。小さな煙が彼女の眼前に立ち上る。
「…呼んだ〜?」
えらくのんびりとした口調の、ぽっちゃりとした蛙の子が小岩の上に座っていた。


暫し呆然とした面持ちで蛙を見つめるナル。やがて意識がはっき
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