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ソードアートオンライン 心優しき少年の物語
第2話:ビーターの誕生

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「なんでや!!」

静寂の部屋に一人の叫びが響いた。
声の主は、キバオウだった。
キバオウは下を向いたまま聞いてきた。

「何で???何でディアベルはんを見殺しにしたんやっ???!!」

見殺し???だって?
同じ事を考えていたのか、キリトがキバオウに質問にした。

「見殺しって????」

キバオウは半泣きの顔を上げて言った。

「そうやろうが!!自分はボスの攻撃を知ってたやないか!その情報を最初から伝えておけば、ディアベルはんは死なずにすんだんや!!」

キバオウに続くようにもう一人のプレイヤーが言い出した。

「きっと、アイツβテスターだ!だから、ボスの攻撃も知っていたんだ???知ってて隠してたんだ!!」

その瞬間、この部屋にいるほとんどのプレイヤーに動揺が走った。

「ちょっと、貴方ね???!」

「おい、お前???!」

アスナとアーテーがくいつく。
(どうしよう???このままじゃキリトが悪いことになっちゃう???どうにかしないと!)
そう思い、僕が行動しようとおもったそのとき???

「あはははっ!」

キリトがいきなり高笑いを始めた。
(えっ、キリト???)
プレイヤー達が一斉にキリトの方を向いた。

「そうだよ。知ってたよ???知ってて隠してたよ」

キリトがその一言を言った瞬間、「やっぱり!!」等の声が上がった。

「それだけじゃない。俺は、沢山の情報を持っている。そんじゃそこら情報屋とは比べ物にならない量をな」

「な、何やそれ???そんなん、もうチートやチーターやないか!」

「そうだな」

「ベーターとチーター、だからビーターだ!!」

「ベーターとチーターを合わせてビーターか、いい呼び名だな」

そう言うと、キリトはラストアタックボーナスであろう黒いコートを装備して上の層へと向かっていった。

「待って、キリト!」

キリトは足を止めて、こっちを向いた。

「何で???何であそこで嘘をついたの?」

キリトは、少し黙ってから口を開いた。

「あの状況を止めるには誰かが汚れ役をしなきゃならなかった。それは俺が一番適任かなと、思ったから」

そう言うと、キリトは、また歩き出した。

「キリト、またどこかで会えるといいな」

「あぁ」

この日、SAOにビーターという存在が出来た。


  ***

第1層攻略から一年と数ヶ月。
今の最前線は、第七十四層。僕は今、七十四層の迷宮区のなかにいる。

「そろそろ、戻るかな」  
   
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