第三章 [ 花 鳥 風 月 ]
三十八話 罪と罰と…
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めていた。
「…幽香…さん?」
さとりは突然の抱擁に困惑した表情を浮かべながら私に視線を向け、私はそんなさとりに微笑み返しながらさとりとこいしの髪を優しく撫でた。
「あまり悲しい事を言ってはいけないわね、さとり。こいしは心を閉ざしてなんていないわ、少し疲れて目を閉じているだけ。大丈夫よ貴方の声はきっとこの子に届いているわ」
私の言葉にさとりは悲しむ様な縋る様な不安に染まった瞳を向けながら、
「……こいしは…こいしはまた私に笑顔を向けてくれるでしょうか?」
「えぇもちろん。だから一人で背負う必要はないわ、私に甘えなさいな」
「……どうして…そんなに優しくしてくれるんですか?」
「…そうね…何となく放っておけないから…かしらね。他に理由を付けるなら……う〜ん…そうだわ!貴方達、私の妹になりなさい、そうすれば家族だから、って理由が付くわ。我ながら名案ね♪」
私がそう言うとさとりは何ともいえない複雑な表情を浮かべながら視線を逸らす。
「…でも…」
「私これでも意外と寂しがり屋なの、それに私達は他の連中が聞こえない声を聞くことが出来るっていう点で似た者同士だと思わない?…さとり今は私に甘えなさい、そして何時か私を貴方達に甘えさせてくれればいいわ。だから今はそう思いなさい」
優しくさとりの髪を撫でながらそんな言葉をかける。自分でも無理矢理な理屈な気もするが本音なのは偽り無い事実だ。
正直何故あんな事を言ったのかは今になって思えばあの女への反発心だったのかもしれない。それでも、歪でも私達はあの瞬間から姉妹になったのだ。私自身が二人を守ると誓った、なのに…………
□ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■
目を覚ました私の視界に写ったのは知らない木目の天井だった。どうやら畳の上に敷かれた布団に寝かされていたようだ。少し気だるい身体に力を入れ上体を起こすと私にかけられていた布団の両脇にさとりとこいしが 突っ伏す様に寝ており可愛い寝息を立てていた。
私は起こさない様にそっと二人の髪を撫でながら記憶を掘り起こし此処が何処なのかを考える。自分がやった事の全てを憶えており最後に手首を貫かれた所までで記憶は途切れていた。あれだけの事をしておいて何故自分は無事なのか?手当てをされた上にどうやら介抱までしてもらっているようだ。
そんな事を思考していると何時の間にかこいしが起きて私の方を眠気眼で見つめており、少しして意識がはっきりしたのだろう声を挙げて私の胸に飛び込んで来た。
「幽香お姉ちゃん!良かった目が覚めたんだね!大丈夫?私の事わかる?痛い所無い?」
胸の中で泣きながら捲くし立てるこいしの頭を撫でながら私は大丈夫
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