自称王と他称王
八話
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「どうしたのヴィヴィオ。何か悩み事?」
「……ねえママ」
「なぁに?」
「わたしが聖王のゆりかごで操られてた時、どんなこと思ってたの?」
あの時のアレクは、自分がした体験を端から見ている気分だった。
だから対面した母に何気ない気持ちで訊いたのだが、瞳の奥に悲しみが見えた。
すぐに失言だったと悟り慌てて弁解しようとしたが、なのははヴィヴィオより早く口を開く。
「――――悲しかった。見てて辛かった。なんでこんなことになったんだろうって、凄く後悔した」
「あ、あのママ……」
「でも、だから助けたかった。だから手を伸ばした。だからヴィヴィオがもっと大切に成って、ずっと一緒に居ようって思った、かな」
なんでもないと微笑む母に申し訳なさを感じつつも、嬉しさが勝り顔が緩んでしまう。大好きな母に大切と言われて、ヴィヴィオは喜べずに居られない。
「ありがと、ママ。でも、ごめんなさい」
「はぁい、どういたしまして。それでどうしたの? 何か大変な事でもあったの?」
「うん、大変だった……のかなぁ?」
なのはの質問にヴィヴィオは頷くが、頭は斜めに傾いていた。
龍が出た時、アレクの表情から大変な事に成ると思ったが、すぐに当の本人だけでどうにかしてしまった。大変な事だったのかそうで無いのか、いまいち判断が付け難くなる程にアレクの行動は豪快で早かった。第一、あの龍が何のかもヴィヴィオには分かってない。
そして、ヴィヴィオが分からないのであれば、又聞きしているなのはは更に分からない。
だが、ゆりかごという言葉から危惧を抱くものの、どうやら大事では無いと伺える。とはいえ、表だって悩みを見せなくなった大切な娘が悩みを見せるなら、なのはには一大事に変わりない。
一応、最近知り合った先輩達のことかな、と大まかな当たりは付けているけれど、心配半分興味半分で訊いてみる。
「ヴィヴィオが悩んでいるのは、今日見学した先輩同士の試合のこと? 試合したいって言ってた子の方かな?」
「ううん、アインハルトさんじゃなくてアレクさんの方なんだけど。でも悩みっていうか、気になるくらいっていうか……」
ふむふむ、対象はアインハルトちゃんじゃなくてアレクちゃん。確か興奮気味にスパー内容を話した子の方だったっけ、となのははヴィヴィオが誰について悩んでいるか脳にインプット。ちなみに、なのはは二つ上の先輩としか特徴を聞いてないので、現時点ではアレクも女子生徒だと思っている。
「なにか危ない事しそうになったの?」
「手から龍が出て、それがしそうになったって言うか成りそうになったって言うか……。あ、でも自分で尻尾掴んで投げ飛ばしちゃったから大丈夫だったよ」
龍というのが何の魔法かよく分からないが、投げ飛ばしたのな
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