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。悪いけど当店は、ああいうのはお断りよ。あなたも覚えておいてね」
『あぁー……』
俺達は一斉に納得のコーラスを斉唱した。
ハーライン……あのナンパ男の話を鵜呑みにした俺達が馬鹿だったようだ。
まぁ、俺個人の意見を述べさせて頂くのなら……こんな美女が相手なら、その気持ちも少しは分からんでもないが――
「もしね、あなたもナンパしに来た……なーんて言ってたら――」
「ッ!?」
突如、ブォン! という暴風が俺の横顔を殴り、それがさっきまでの脳内の考えを頭の外へと吹き飛ばした。
「なっ……!?」
いつの間にか彼女の片手には荒削りの太い木の棒が握られ、それは俺の顔すぐ真横にまで伸びていて、その棒から伸びる蔦に絡まった一つの巨大な岩が、俺の耳にぶち当たる寸前でピタリと止まっていた。
「――あの人同様、これでブッ飛ばしちゃってた、かも」
「……………」
俺は息を呑み、頬に冷や汗がひとつ流した。
――この人……出来る。
あと、メチャクチャ笑顔が怖い。アスナのそれとは比ではない静かな恐怖が俺の背筋を凍りつかせる。
「ず、随分と良い鈍器をお持ちで……」
上擦りかけた声で褒め称えると、その笑顔が5割増しに。
言っちゃなんだけど、本気で怖いのでマジでやめてもらいたい。
「でしょーっ? 意外ってよく言われてたけど、私もこのプリミティブさが大好きなの。両手戦槌の、その名も《ウォー・ロック》って名前。シンプルだけど、すっごく重くてとっても強いんだから」
それを片手で軽々と構えるあなたの筋力値の方が強そう……とは口が裂けても言うまい。
「ち、違いますっ、キリト君はそんなんじゃなくて……えっと、わたし達、本当にお客として泊まりに来ただけなんです!」
「うふふ、分かってる分かってる」
アスナの助け舟により、俺はなんとか、どっかの変態同様に外へと殴り飛ばされずに済んだようだ。すぐに彼女は笑みを元に戻して、己のスリムでグラマラスな体型に似合わぬ、石器時代から持って来たかのような原始的な風貌の鈍器を降ろし、ストレージに仕舞う。
「ただね、そこの男の子の目がジーッと私の顔や体を値踏みするように眺め回してたから……女の勘が働いて、丁度ペットにメッ! って叱る感じに、ちょっぴり牽制しちゃった♪」
あんな目や武器で威嚇しておいて、よくちょっぴりなんて言えたものである。
「顔や体を値踏みするようにって……それって本当なのかなー。キリト君?」
「え!? いや、見てない、見てないって! だからアスナ、その目はやめてくれっ」
「それはともかくっ!」
リズベットがまだ少し赤い顔で進み出た。
「あたし達は、コイツの呼び掛けに出てこなか
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