暁 〜小説投稿サイト〜
箱庭に流れる旋律
歌い手、至高の一品を知る
[3/3]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
し・・・」
「あ、あの」

 おずおずと、隣からロロちゃんの声が聞こえてくる。

「あ、うん。なに?」
「いえ、ですね・・・指揮者も、歌い手も・・・至高の一品はあります、よ?」
「え?」

 このとき、僕はかなり間の抜けた声を上げていただろう。

「え、でも・・・歌、だよ?」
「はい・・・確かに、歌い手は“音楽シリーズ”の中で唯一、楽器がなくても発動できるギフトです。・・・指揮者も、指揮棒がないと発動できませんから」

 あ、指揮者は指揮棒がないとダメなんだ・・・
 なら、指揮者も指揮棒が至高の一品、なんだろうな。

「でも、歌い手にも至高の一品は存在するんです。・・・至高の一品でなければ、ないほうがいいですけど、至高の一品であれば、それまでとは比べ物にならない音楽を奏でることが出来るとか・・・」

 そのあたりは曖昧なのだろう。
 かなり語尾が濁した感じになっている。

「・・・じゃあ、歌い手のためのって、どんなものが・・・」
「・・・マイク、です」

 ロロちゃんは、そう言っていた。

「マイクが、歌い手にとっての至高の一品となりえるんです」
「マイク、か・・・」

 といわれても、これまでに思い入れのあるマイクなんて、なかったんだけど・・・

「ああ、奏。“ノーネーム”が到着したぞ」

 と、そんな事を考えていたらサラさんがそう伝えてくれて、その後ろから皆が入ってきた。

 ・・・まあ、いいや。また時間があるときに考えよう。
 そう決めて、僕は頭の中からマイクのことを追い出した。

 ロロちゃんの説明をした後、黒ウサギさんがブラックラビットイーターがあると聞いて、地下の展示会場まで行ったりしたけど・・・まあ、うん。
 そこまで気にするようなことではないだろう。

[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ