第一記 赤龍帝死して幻想の都へと足運ぶ?
[1/3]
前書き [1]次 最後
「我、ドライグと共に帰る」
聞こえるのは誰よりも無垢で、どんな生き物よりも純粋な、そんな声。
「あぁ……そう、だ……帰ろう……一緒に、帰ろう、ぜ……皆の……ところ……に」
しかし、もうソレすらも聞き取れなくなってきた。頭がぼーっとして、さっきまでの激痛が嘘みたいに、無くて。瞼が、なんだか重くて―――。
そこまで思考が回って、遂に脚がガクリと力を失う。
ドタリと軽い音が聞こえる。俺が倒れたんだなぁ……と、その事実は認識できた。
『相棒!……………しろ!………る……のだぞ!』
あぁ、ごめんな相棒……なんだがもう無理らしい……。
「ドラ、イグ……」
なんとか、本当になんとか喉から声を発する。
『――――――!』
これだけは……これだけは……。
「きっと……お前は……最高で……最強の……――」
『―――――――!――――!』
ごめんなドライグ、もうなにいってるかわかんねぇや……はは、情けねぇ……。
あぁ……それにしたってこれはねぇよ。……なぁ、そうは思わないか神様?愛した女一人守れねぇなんて……隣にいられねぇなんて……駄目だよなぁ……。格好、つかねぇよなぁ……。
瞼の裏に焼き付かんばかりに思い浮かぶのはあの綺麗な紅髪。
ああ――会いたいよ。
せめて、もう一度だけでも、言ってやりたい……どんな罰を受けたって良いから、伝えたい……。
「愛、してる……よ、リアス……」
なんて。
これも伝えられないなんて―――。
思考を動かそうとする度に、何かが止まっていく。
足元から冷気が這い入るような、そんな感覚をともないながら何かが死んでゆく。
全く――――。
しかし、全てを使いきったような、そんな気分に浸りながらも最後の力を振り絞って言葉を紡ぐ。
最後の力だと言うのに、それはあまりにもあっさりと喉から漏れた。
「――――死んでも死にきれねぇじゃねぇか」
その言葉を最後に、俺は意識を失った。
●
目が覚めたら見知らぬ土地だった。
それ自体アニメや漫画など、そういうもの自体には良い導入とも言えるだろう。まぁテンプレだが。
しかし自分がそうなって見ると案外笑えもしないわけで、俺こと兵藤一誠は頭を抱えて全力で苦悩中だった。
「まてまてまてまてまてまてまてまてまてまてまて!ちょっと落ち着こううん待とうこう言うときこそ素数――――じゃなくておっぱい!おっぱい数えよう!おっぱいが――――ねぇよ!どこにもねぇよ!ふざけんな!」
苦悩中だった。
「いや。お、落ち着こう……。うん。よし、じゃあまず、何があったか、思い出してみようぜ……」
そう自分に語り掛けながら朧気な記憶をたどる。
前書き [1]次 最後
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ