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東方赤龍録
第一記 赤龍帝死して幻想の都へと足運ぶ?
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「我、ドライグと共に帰る」

聞こえるのは誰よりも無垢で、どんな生き物よりも純粋な、そんな声。

「あぁ……そう、だ……帰ろう……一緒に、帰ろう、ぜ……皆の……ところ……に」

しかし、もうソレすらも聞き取れなくなってきた。頭がぼーっとして、さっきまでの激痛が嘘みたいに、無くて。瞼が、なんだか重くて―――。

そこまで思考が回って、遂に脚がガクリと力を失う。

ドタリと軽い音が聞こえる。俺が倒れたんだなぁ……と、その事実は認識できた。

『相棒!……………しろ!………る……のだぞ!』

あぁ、ごめんな相棒……なんだがもう無理らしい……。

「ドラ、イグ……」

なんとか、本当になんとか喉から声を発する。

『――――――!』

これだけは……これだけは……。

「きっと……お前は……最高で……最強の……――」

『―――――――!――――!』

ごめんなドライグ、もうなにいってるかわかんねぇや……はは、情けねぇ……。

あぁ……それにしたってこれはねぇよ。……なぁ、そうは思わないか神様?愛した女一人守れねぇなんて……隣にいられねぇなんて……駄目だよなぁ……。格好、つかねぇよなぁ……。

瞼の裏に焼き付かんばかりに思い浮かぶのはあの綺麗な紅髪。

ああ――会いたいよ。

せめて、もう一度だけでも、言ってやりたい……どんな罰を受けたって良いから、伝えたい……。

「愛、してる……よ、リアス……」

なんて。

これも伝えられないなんて―――。

思考を動かそうとする度に、何かが止まっていく。

足元から冷気が這い入るような、そんな感覚をともないながら何かが死んでゆく。

全く――――。

しかし、全てを使いきったような、そんな気分に浸りながらも最後の力を振り絞って言葉を紡ぐ。

最後の力だと言うのに、それはあまりにもあっさりと喉から漏れた。

「――――死んでも死にきれねぇじゃねぇか」

その言葉を最後に、俺は意識を失った。





目が覚めたら見知らぬ土地だった。

それ自体アニメや漫画など、そういうもの自体には良い導入とも言えるだろう。まぁテンプレだが。

しかし自分がそうなって見ると案外笑えもしないわけで、俺こと兵藤一誠は頭を抱えて全力で苦悩中だった。

「まてまてまてまてまてまてまてまてまてまてまて!ちょっと落ち着こううん待とうこう言うときこそ素数――――じゃなくておっぱい!おっぱい数えよう!おっぱいが――――ねぇよ!どこにもねぇよ!ふざけんな!」

苦悩中だった。

「いや。お、落ち着こう……。うん。よし、じゃあまず、何があったか、思い出してみようぜ……」

そう自分に語り掛けながら朧気な記憶をたどる。
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