第3章 聖剣の影で蠢くもの
第27話 必殺料理人
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はある。
もう間もなく家族全員が集合することだろう。
「マスターの身にいったい何があったのですか。二階で何かしていたようですが。あのような状態にまで、マスターを追い詰めるほどの何かがあったのでしょうか」
あれこれとつぶやきながら、考えても、何も思い当たらない。
この家は、はやてと初めてあったときから、ずっと住み続けてきたのだ。
いまさら何があるというのだろうか。秘密などどこにも――あった。
(――もしかして、あそこだろうか。マスターの両親が殺された寝室なら、あるいは……)
はぐれ悪魔が押し入ったあの日――そして、夜天の書の騎士たちが、主と出会った日。
父とともに、はやては、寝室のベッドで寝ていた。
事件の後始末がひと段落ついたあとになっても、彼女は、寝室を使おうとしなかった。
使おうとしないにも関わらず、彼女は毎日のように、忘れずに掃除をしている。
たとえ、家族でも、決して入ることを許さない。
今に至るまで、リインフォースたちは一度も入室したことはなかった。
当然、部屋の中の様子を知る由もない。
(たしかあの部屋は、正確には寝室も兼ねた書斎だったはず。だとすれば、過去に関することで、何かをみつけたと考えるべきだろうな)
ただし、一度も入室したことがないというのは、語弊がある。
主の危機に反応して、はぐれ悪魔から守ったときから、後片付けをするまで。
その間は、彼女たちも寝室に出入りしていた。
あのころ、無言のまま、部屋の中でたたずむ主の姿をよく見かけていた。
ふと思い出すのは――父の遺体を前に、嗚咽していた少女の姿。
忘れることのない最初の出会い。原初の風景。主の大切な人を守れなかった罪の証。
いかに断片的とはいえ前世の記憶とやらを持ちえたとしても、9歳を迎えたばかりの少女には、あまりにも酷な試練。
(そうだった。あのときもマスターは顔を蒼白にしながらも、気丈に振る舞っていた)
虫食いだらけの前世の記憶。転生。魂の性別。異世界。復元された夜天の書。原作知識。膨大な魔力。原作と異なる水色の魔力光。悪魔に対する異常な敵愾心。
「八神はやて」にまつわる謎は多い。
これまでに明らかになった断片的なキーワードを、結び付ける何かが存在するはずだ。
その何かを見つけたのではないだろうか。
以前から感じていた胸騒ぎが、止まらない。
きっと、この先には、試練が待っている。理由はないが、確信がある。
(マスターがどのような存在で、どのような道を選ぼうとも、私だけは――私たちだけは、付き従います。たとえ、その先に破滅しかなかったとしても)
本当なら諌めるべきだろう。だが、彼女は自らの主の
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