第6章:女の決意・男の勘違い
第31話:有言実行
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、そうだよ……殴る事に熱中してたから、すっかり忘れてた! おいヒゲメガネ、この蕾を開花させろ! 今すぐ開花させろコノヤロー!」
俺が取り出した世界樹の蕾を見て突然思い出したリュカさんは、俺の手から蕾を取り上げると枝先をマスタードラゴン様の鼻に突き刺しながら、即座に開花させる事を強要する。
「お、おい……ちょ、ちょっと……止めろコラ……これが物を頼む態度か!?」
リュカさん、頼むから止めて下さい!
俺にはソレが必要なんです……マスタードラゴン様がヘソを曲げてしまったらお終いなんです!
「馬鹿野郎……お前に『物を頼む態度か!』なんて憤慨する権利があると思ってるのか? 僕等なんかは頼み事もされずに、この時代へ強制的に送られたんだぞ! 高圧的に頼み事をするのと、強制的に何かをやらせるのと、どっちが非常識なんだ? 事前にお願いをしている分、僕の方が常識的だと思うんだが……」
「それはしょうが無い事ですよリュカさん。そちらのお方はマスタードラゴン様……この世界の全てを統べる偉大なる神様なんですから。俺等人間ごときが、偉大なる神様相手に頼み事をするのだって彼等からしてみれば、身分を弁えない愚か者の行為なんですから!」
神様に無礼な態度で接するリュカさん……その態度に憤慨気味のマスタードラゴン様……
そんなお二人を見てたウルフさんは、とても嫌な言い方でリュカさんの援護に打って出る。
終わったな……俺のささやかな願いは、これで間違いなく拒絶される。
「実に嫌な言い方をする人間だな。私はそんなに高圧的な態度に出る気は無いぞ! ただ、枝を鼻に突っ込まれるのが不愉快なだけだ……それくらいは解るだろう」
確かにあんな物を鼻に突っ込まれたら、痛くて嫌だな……リュカさんも解っててやってるんだし、ウルフさんだって理解してるんだろうけど、何で神様にそんな態度を出来るんだろう?
「殴られるよりマシだろう! どうせ普通に頼んでも、面倒臭い交換条件を押し付けてくるんだろうから、先に嫌がらせをしたんだ。お前は昔からそう言う奴だからな!」
「私の何を知ってるんだ!」
「少なくともお前の未来は知っている! そしてその未来では、僕に面倒ごとを押し付ける凄く厄介な存在だ。どんだけ振り回された事か……」
「くっ! 私に未来の事が分からないからって適当な事を……」
「適当な事かどうかは時間が解決してくれる。そんな事より蕾を開花させ、勇者シンの彼女を生き返らせてくれるのですかぁ?」
枝を鼻に突っ込む事を止めたリュカさんは、エグる様な視線をマスタードラゴン様の下方から発し、王族とは思えないガラの悪さで問いただす。
「止めよ……そんな目で睨むな! 勿論シンの思い人を生き返らせるつもりでおる」
「それは話が早い! では神様パワーで、シン君の彼女を
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