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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜絶望と悲哀の小夜曲〜
狂気の始まり
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世界初の《ボトムアップ型人工知能》でもある」
その名前を聞いた時点で、レンはようやく理解した。
「じゃあ、兄ちゃんのことも知ってるの?」
「ああ。史上最年少ノーベル科学賞受賞者。受賞理由は、《ライトキューブ》の開発、《人工フラクトライト》の開発……挙げればきりがないな」
男はさらに続ける。
「君のことは研究所にいたころに、お兄さんから聞いているよ。人一倍洞察力が鋭いってね」
兄らしい言い方にレンは苦笑するしかなかった。
「ならば君はもう全てを解っているのではないか?」
男、カーディナルの言葉に少しだけ表情を固くしたレンは言った。
「……さっきのアレは、たぶん……システムの改変?」
疑問型で聞いたレンに笑みを濃くしたカーディナルは、ブラボー! と叫ぶ。
「正しくは事象の上書きだ。アレは通称【心意システム】と呼ばれている」
「心意……システム………」
繰り返したレンの言葉に、カーディナルは大きく頷いて続ける。
「アレはいわばイメージの塊だ。強く願ったことは具現化される、ここはそういう世界だ」
ふーん、とレンは興味なさそうに呟いた。
そして、暗い瞳で言った。
「…話はそれだけ?じゃあ──」
「おっと待った。まだ褒美をあげてないぞ、少年」
「………褒美?」
怪訝そうに聞いたレンにカーディナルは満足そうに頷く。
「そうだ。何せ、この世界で初めて【心意】を使った者なのだからな。その褒美だ」
そう言って、カーディナルは左手を振り、出現した巨大なウィンドウを操作し始める。
すると、レンの視界にクエスト受注ログが現れた。
「…………クエスト?」
「そうだ。クリアするためには、二百人ほどオレンジプレイヤーを狩らねばならないが………まぁ、君の実力ならばできるだろう」
とんでもないことをさらりと言って、カーディナルはきびすを返し、去ろうとする。
だが立ち止まり
「そうだ。君の使い魔からの贈り物が届いているから、確認したまえ」
その言葉を聞き、すぐさまレンはメニューウィンドウを呼び出す。
そして、アイテム欄を開くと、そこには──
《マフラー・オブ・ブラックキャット》
すでにカーディナルの気配が消えた、広大な空間で一人ぽつんとレンはそれを見ていた。
いつまでも見ていた。
その後、オレンジプレイヤーが大量虐殺されたことは、言うまでもない。
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