第一部 vs.まもの!
第11話 なっとくできない!
[3/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
た。オルフェウスだ。
「やれやれ、こんなに可憐な女性の前で酔客と醜い口論をするなど、つくづく無粋な男です。さあ、サラさん、入りましょう。なに、彼には勝手にやらせておけばいいんです」
オルフェウスはサラの手を取り、ウェルド達のいるカウンター席まで来た。ウェルドとディアスを無視し、ノエルにとろけるような笑顔でほほえみ
「こんにちは、ノエルさん」
ノエルはオルフェウスを睨みつけてそっぽを向くが、彼は一向気にせずノエルの右隣に座り、更に自分の右隣に、サラを座らせた。
「やあ、僕は幸せ者だなあ。こんなに愛らしい女性たちに囲まれて休息を得ることが出来るなんて。この臭い酒場もあなた方のおかげでまるで花園です」
「お前、俺の店にケチつけるつもりか? 確かに臭いけどよ」
ノエルは席を立ち、ウェルドの後ろを通り過ぎて、ディアスの左隣に位置を変えた。オルフェウスがわざとらしく嘆く。
「つれないなあ。しかし理解できない。あなたのように聡明で純真な女性が、何故こんな粗暴なゴリラ男や性格の悪いネクラ男なんかと行動を共にするのです?」
「誰がゴリラ男だコラ」
「そんなのあたしの勝手でしょ! あたしはあなたみたいな軽薄な人は嫌いなの! この二人だって、あなたなんかより遙かにマシよ!」
『マシ』ですか、そうですかありがとう。
「……ディアス、お前も何か言ってやれよ」
「捨ておけ。馬鹿につける薬はない」
アーサーが来て、オルフェウスとウェルドの間に座った。
「オイゲンさん、こんにちは。僕たちにアルコール以外の飲み物をください。……何の話をしてたんだ?」
「君は相変わらず頭が足りないなあ。男女の語らいに割り込んで、事もあろうか何を話してたんだ、って? 知恵が回らないなら回らないなりに慎みというものを知るべきです」
「男女の語らい!? 君が? ウェルドと!?」
「違ぇよ! 何でだよ馬鹿!」
「サラさん、場所を変えましょうか。ここは僕たちが愛を語らうにはあまりにも似合わない」
小鍋で温められた牛乳を飲んでいたサラが小首を傾げる。
「オルフェウスさん、そういえばこの前、エレアノールさんとも愛を語らっていませんでしたか?」
「何ぃ? エレアノールと!?」
ウェルドは厚い掌をカウンターに叩きつける。
「てめえ、あの人におかしな真似しやがったら承知しねぇぞ!」
「実に嘆かわしい!」
オルフェウスは両手を広げて天井を仰ぐ。
「まず第一に、あの物憂い空気をまとう知的で控えめな美女と僕との関係が誤解されていること、これは悲しくてなりませんね。さらにエレアノールさんに相応しい男性像を誤認識している輩が存在する事。これはゆゆしき事態です。彼女の身が心配でならない。そして何より嘆かわしいのは、サラさん、あなたが僕を疑っている事です!」
「えっ……でも
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ