暁 〜小説投稿サイト〜
とらっぷ&だんじょん!
第一部 vs.まもの!
第11話 なっとくできない!
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た。このいかにも体に悪い感じがたまらない。空になったグラスをカウンターにドンと置く。
「うめぇっ! 親父、もう一杯」
「いい飲みっぷりだねぇ。それにしても羽振りのいいことだな」
「遺跡で見つけた物を親父が買い取ってくれるからさ。他の連中は飲みにこねぇの?」
「飲むために来るのはあんたと、あのイヴって子だけだね。あと夜はサラが厨房を手伝いに来てくれるが、それくらいだな」
「へえ、サラちゃんが」
 すると、近くのテーブル席から野次が飛んできた。
「おい新入り、太陽の宝玉もまだ見つけてねえひよっ子が真っ昼間から飲んでていいのかよ?」
 三十前後の男女の、五人のグループだった。声をかけてきた男も既に顔を真っ赤にし、できあがっている。
「どうだっていいだろ。あんた達こそ真っ昼間から酔っぱらってんじゃねえか」
「俺たちはいいんだよぉ。もう十年も前にやる事やって、ここの居住権持ってるんだもんな」
 酔っぱらい達は声を上げて笑う。オイゲンが首を振り、ウェルドに向き直る。
「あの連中はな、太陽の宝玉を手に入れてからというものの、遺跡の浅い層だけうろついて弱い魔物だけ相手にしていやがる。それで毎日余った時間を飲んで過ごして若い時間を腐らせてるのさ。いいか、お前らはああはなるなよ」
「言ってくれるじゃねえか、ジジイがよぉ。俺らこう見えたって必要な分は自分で稼いで、国に送金して、家族養ってるんだぜ? 外に女房子供を持ってる奴だっているんだ。それだけでも立派なもんじゃねえかよ」
「そうだそうだ、送金待ってる家族がいるのに何で危険を冒して――」
 すると一番手前のテーブルに座る男が椅子を倒して立ち上がり、
「俺の目の前で女房子供の話をするんじゃねえ!」
 酔っぱらい達の興味はウェルドからそれた。勝手に喧嘩し勝手に盛り上がっている冒険者達の姿を見て、オイゲンは深く溜め息をつく。
「ったく、そのジジイに束になっても勝てねえ奴らが偉そうに……」
 再びグラスが何かに当たって砕ける音。
 音がした方を振り向いた。太陽の光を背に、戸口にアーサーが立っていた。彼の鉄の胸板を、葡萄酒が伝い落ちる。アーサーは呆然としていた。彼が自分の身に起きた事を理解までに、十秒はかかったように思う。
「な……何をするんだ!」
 女房に逃げられた冒険者が拳を振りあげる。
「ああ? 何だ? やんのか、てめぇ!」
「アーサーさん、どうしたの?」
 サラがアーサーに遅れてやってきて、ひょっこり顔を見せる。
「てめぇ、やる気ならな、おい、この野郎――」
 哀れ酔いどれ冒険者は、アーサーにふらふら歩み寄るも、自分が倒した椅子の脚に躓いてその場に倒れた。それを連れの男が介抱する。
「あーあー、だからもうやめとけって言っただろ?」
 もう一人、サラの後ろから、色白の男が現れ
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