Episode2 偶然の遭遇
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すよ!
「おいおい、かわすことないだろ!俺とお前の仲だろ?」
「残念ですけど、僕にそんな趣味はありません」
「フー。相変わらず、ノリが悪いっていうか、冗談が通じない野郎だな、お前は」
「悪くて結構です。それより、どうでしょう?」
「そうだな……、全部合わせて七万コルでどうだ?」
「相変わらずですね、エギルさん」
いつも通りのエギルさんに思わず苦笑してしまう。
「お前、今笑っただろ?」
「はい、笑いましたよ」
「そういうお前も相変わらずだな。それに、どうせお前のことだから、こうなることが分かってたんだろ?」
エギルさんは、腕を組みながら左側の口の端を吊り上げるようにして笑う。僕たちはいつもこんな感じなのである。エギルさんのモットーは、安く仕入れて安く提供することだ。一応、僕のことをお得意様のカテゴリに入れてくれているみたいだけど、それでも少し上乗せしてくれる程度だ。だけど、それで構わないと思っている。別に儲けようと思っているわけじゃない。
「いつもの事ですからね。とりあえず、交渉成立で問題ないです」
「毎度あり!!」
トレードが成立して、エギルさんから七万コルが振り込まれてくるのを確認したので、ウインドウを閉じる。エギルさんは表情が今度は少し緩んでいる。きっと、〈ラグー・ラビットの肉〉の味でも想像しているのだろう。そういえば、エギルさん料理スキルはどのくらいなんだろう?ただ焼いて食べるのは、勿体ない気がするけど……。それは、置いておいて。
「すいません、エギルさん」
「ん?まだ何かあるのか?」
「はい。どこか腕のいい鍛冶屋とかって知ってますか?」
「ん〜、鍛冶屋か……。おっ!そうだ、確か四十八層にある『リズベット武具店』ってところは、なかなか腕がいいって聞いたことがあるぞ。って、俺のとこの武器を買えば済む話だろ?」
「『リズベット武具店』ですね、ありがとうございます」
必要な情報だけをしっかり聞き、後半は聞こえなかったことにする。今回、かなりサービスしたのだから、これくらいではバチは当たらないだろう。エギルさんが何やら喚いているが、それを無視して店を後にすることにした。
To Be Continued
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