Episode2 偶然の遭遇
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隙に、樹木から樹木へと隠れながらモンスターとの距離をとる。八メートルくらい距離が開いたところで、矢を二本取り出し、一本だけ構える。弓遠距離攻撃スキル《クイックシュート》。二本の矢を一本ずつ続けざまに放つ、弓スキル唯一の連続掃射なのだが、最大射程は十メートルと弓遠距離攻撃技の中で最も射程が短い技だ。
「ヴォォォー!」
重低音の声が森の中に響き渡る。それには、明らかに怒気を含んでいることが感じ取れる。モンスターの身体に二本の矢が突き刺さっていることから、両方命中したことが分かる。敵のHPはレッドゾーンに突入している。これ以上戦闘を長引かせると、ヤツの叫び声に釣られ他のモンスターが接近してくる可能性がある。
(次で決めないと、まずいな…)
敵との距離は変わらず、約八メートル。この距離なら、使用可能な全ての弓スキルの射程内だ。
(よし!)
矢筒から再び二本の矢を取り出し構える。そして、続けざまで放たれた二つの黄色の閃光はモンスターを消滅させた。
ソードアート・オンライン 〜命の軌跡〜
Episode2 偶然の遭遇
<ドールウッドマン>との戦闘を終え、目の前に紫色のフォントで、獲得経験値やドロップアイテムリストなどが表示される。右手を振り、メニュー画面を呼び出し、アイテム欄を開きアイテムを確認する。
「よし!とりあえず、これだけあれば十分かな?」
〈ヤドリギの枝〉―――素材アイテムの一つで、僕にとっては重要なアイテムなのだ。今日一日かけて、ここ『深緑の森』で狩りをしていたのは、このアイテムのためだ。
ドロップ品を確認した後、矢筒に矢の補充を行う。弓使いが戦闘後必ず行わなくてはならないことが、この矢の補充だ。矢は無限ではない。そこまで都合のいいシステムは、このSAOには存在しない。もしかしたら、何かのクエストで〈無限の矢〉みたいなレアアイテムが存在するかもしれないが、少なくとも僕は聞いたことが無い。
「使った矢は全部で五本か…」
今回の戦闘で使用した矢の数だ。《スパイラルシュート》の時に一本と《クイックシュート》のとき計四本。使用した本数が少なくても、矢筒への補充はこまめ行わないと命取りになる場合がある。このSAOの世界では全ての矢が一回限りの使い捨てである。そして、矢の補充にはメニュー画面を操作しなくてはならない。なので、戦闘中の矢の補充は隙を作ってしまうことと同義なのだ。
「ストックも結構減ってきたし、そろそろ矢の獲得クエを受けに行かないとダメかな」
弓と矢は、店では売っていない。つまり、矢のストックを増やすには、専用のクエストをクリアしなくてはならない。弓についても同様で、クエストでしか入手方法がない。
そのクエストも何種類か存在し、
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