Episode2 偶然の遭遇
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アインクラッド標準時 2024.10.17
ここは、第24層にある『深緑の森』と呼ばれ、太く背の高い木々のおかげで鬱蒼とした感じの森だ。
「スゥー…、スゥー…」
ここで僕は、気持ちを落ち着かせるため静かに息を数回吐きながら、樹木の陰に身を潜めている。なぜなら、樹木を挟んで反対側、距離にして約十五メートルの位置に<ドールウッドマン>と呼ばれる人間と然程大きさの変わらないモンスターがゆっくりと歩いているからだ。《隠蔽スキル》のおかげで、まだこちらには気づいていない。
<ドールウッドマン>という名前の割には、精巧な木人形とは程遠い姿をしており、まぁ簡単に表現するなら木のお化けだ。木の幹の部分が顔と身体で、そこから足を模るように二本の根が生えており、腕を模した枝の先が三本に枝分かれして手を表現している。頭は木の葉がたくさん生い茂っていて、まるでアフロヘアーのようだ。色々ツッコミたくなるが今は止めておこう。
(射程範囲はギリギリだけど、なんとかなるかな…)
直方体の形をした矢筒から一本の矢を取り出し、それを構える。そうするとシステムが規定モーションを検出し、矢が黄色のライトエフェクトを纏うとスキルが立ち上がる感覚を感じる。そして、その感覚が最高潮に達した時、矢が放たれる。その矢は、まるで吸い込まれるかのようにモンスターへと飛んでいく。そして、命中した矢はモンスターを穿つ。
弓遠距離攻撃技《スパイラルシュート》。スキルによって回転の強さ、回転の速さ、回転の回数を増大させることで強力な貫通力を生み出し相手を穿つ技であり、弓スキルの中でも上位の攻撃力を誇る。だが、このスキルには欠点がある。強力な貫通力ゆえ、乱戦には向かない。なぜなら、穿ったモンスターの背後に他のプレイヤーがいた時、そのプレイヤーも貫いてしまうからだ。それともう一つ、この技は弓遠距離攻撃技の中でも射程が短い分類に入り、最大射程は十六メートル。
ちなみに、技によって最大射程距離が異なり、敵が射程外に居る場合はスキルが発動しない、もしくは不発に終わりそのまま硬直状態になってしまう。したがって、弓使いには相手との距離感を正確に目測する能力が求められるわけだ。
(やっぱり、一撃では無理だよね…)
相手の左腕、枝の付け根の部分を抉り、欠損させたもののHPは三分の一以上残っており、全て削りきれてはいない。当然、攻撃されたことによりモンスターはこっちに気づく。とても短い足のような二本の根をすばやく動かしながら、突進してくる。スキル後の硬直はすでに解けているが、あわててすぐに次の攻撃を仕掛けないで樹木に背を預け待ち構える。
(いまっ!)
敵モンスターの体当たりをギリギリのところで、樹木の後ろへ回り込むように回避する。わずかな振動音が耳に届く。その
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