麒麟と鳳凰、仁君と伏竜
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和になるもんな。一度乱れてしまったおかげで不穏分子の見極めが出来たんだから後は排除すればいいだけだろうし」
皮肉を込めた言い回しである事に、白蓮は気付かない。友としての信頼は大きかった。
いつも通り、ゆらゆらとギリギリのラインで保たれる線引き。それを聞いて雛里は顔を伏せた。秋斗が白蓮と戦う覚悟を持っている事を理解してしまった。
「とりあえず……白蓮は益州へ向かう事について賛成でいいわけだ」
「……ああ、確実に幽州を取り戻す事が一番だから。与えられるカタチじゃあ意味が無いんだ。私が、私達が取り戻してこそなんだ」
「袁家に仇討ちは出来ないかもしれないがそれはいいのか?」
「牡丹の望み、そして死んでいった奴等の望み、生きている皆の望みは私が幽州を取り戻して治める事だ。だからそのくらい……個人の感情くらい抑え付けるさ」
ぎゅっと机の上で拳を握った白蓮は堪えるように引き絞った声で言い切った。
「ありがとう。さて雛里、朱里はお前と同じ選択肢を思いつくと思うか?」
「必ず。桃香様によって大陸が平和に導かれる事を望む朱里ちゃんが提示するのなら……二つ目か三つ目でしょう」
雛里の予測ならばほぼ確実と見て、秋斗は次の話に移る。
「じゃあ次だ。白蓮、お前は先に桃香達の元に行け。本隊の数が行軍出来る程の道は一つしかないからな」
ばっと顔を上げた白蓮は何かを言おうとして、すぐにやめた。秋斗の冷たい瞳、有無を言わさないその眼差しに、彼なりの考えがあるのだと分かって。
ゆっくりと、秋斗の思惑を看破している雛里が続ける。
「二つ目でも三つ目でも、一度集まる必要があります。どのように動くとしても劉備軍本隊の方が最優先ですので白蓮さんにはその補佐をお願いしたいんです、それに、徐晃隊は少し特殊な隊なのでいろいろと袁紹軍に対して独自の策を仕掛けられるのも一つかと。桃香様達からの伝令を待っている間の事ですので、心配は要りませんよ。伝令が届き次第、私達も直ぐにそちらに向かいますから。一つ目であっても、本隊の到着を待つ時間は余裕ですし」
小さく微笑んだ雛里。白蓮は彼女程の才女が言うならばと抑え込んだ。秋斗が無茶に走る事は以前もあったが、雛里がそれを咎めた事を聞いていたのもある。
「分かった。迅速さが不可欠な事態だし、直ぐに準備するよ」
大きくため息を吐いて立ち上がった白蓮に、秋斗が申し訳なさそうに声を掛ける。
「すまないな白蓮。もうちょっとゆっくりしてから酒でも飲みたかったんだが……」
「ふふ、この戦を無事に切り抜けられたら三人で、としておこうか。じゃあ行ってくる」
笑顔を一つ、後にクイと杯を傾ける仕草を示して、秋斗が笑顔で返したのを見てから白蓮は背を向けて軍議室を後にした。
残った二人を包
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