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乱世の確率事象改変
麒麟と鳳凰、仁君と伏竜
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可能ですので孫策軍に降伏するのがよろしいかと。ただし、桃香様は降ったとしても立場上殺される可能性が高いです。逃げるとしたら……兵は三分の一以下に、将は半数以上を失うのが予想されるのでおススメでは無いです。曹操さんの元に身を寄せるなら別ですが。それともし、孫策軍に袁術打倒の意思があるのならこの展開で時間を稼ぐのも一つの手かと。
 一つは曹操軍を引き込む形で徐州を乱戦の場とし、五つの軍が入り乱れる大戦を作り出す事。この場合、如何に曹操軍と上手く交渉するかが問題となってきます。両袁家、孫策軍を追い返した後、曹操軍に莫大な借りが出来てしまい徐州に縛り付けられてしまうのも危ういです。曹操さんの野心は大きく、必ずや私達を取り込もうとしてくるはずですから。ですので、桃香様の理想を叶える為でしたらなんらかの方策をとって袁紹軍と曹操軍がぶつかっている間に徐州を離脱するのが最善でしょうね。
 一つは孫策軍、袁術軍を無理やり抜いて同家である劉表さんの治める荊州まで抜ける事。兵の半数の消失は確定的で、幾人かの将を失うかもしれない危うい賭けとなりますが、早い内から別の地で再起を計る事が出来るのは先の二つに比べて大きな強みです」

 つらつらと並べられた三つの事柄を聞いて、驚愕の表情に変わった白蓮は慌てて口を開いた。

「お、おい。それって……桃香の理想を叶える為には徐州を捨てるしかないって事か!?」

 それを聞いた秋斗は涼しい顔で白蓮を見つめ、

「曹操がどんな奴かは……知ってるな?」

 己が提案した密盟を行ったかどうかを確かめた。苦い表情に変わった白蓮を見て、それが失敗したのだと確信し、秋斗は続ける。

「あれに従わないと言うのなら、俺達が乱世で生き残る為には現状の徐州に居座り続ける事は不可能だ。これからの大陸の情勢を予測するのなら、最低でも益州を手中に収める必要がある」
「え、益州だと? ……ああ、そうか。あそこはずっと内部がぐちゃぐちゃだからなぁ。南蛮の防衛も粗雑で、民の被害が増える一方らしいし……あの場所を手に入れて力を付けないと乱世を乗り切る事は出来ない、か」

 呆れたように大きなため息をついた白蓮の表情。そこには少しの安堵と諦めが映っている。それを見て、瞳に冷たい輝きが宿ったのは秋斗と雛里、どちらもであった。
 義の為ならば、侵略を是と出来るのが白蓮なのだと理解して。善良なモノでも幽州の為ならば踏み台にする事を厭わないというのも連合参加で知っている。
 秋斗は己から突きつけずとも、勝手に起こった袋小路に少しだけ感謝した。
 ただ……彼は見誤っていた。理想は恐ろしく甘いモノだという事を。

「益州で力を付けて賛同者を増やし、曹操を止めて幽州を取り返せばいいんだな」

 二人ともが反応出来なかった。辛うじて、思考を繋いだの
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