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乱世の確率事象改変
麒麟と鳳凰、仁君と伏竜
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の後、震える声が響いて、桃香様は拳を握って私と目を合わせる。哀しみと覚悟が揺れる瞳に胸が締め付けられた。

「二番目ならば……被害は一番少ないです」
「じゃあ二番目の、策にしよう。それに一回だけ、機会が欲しい。曹操さんと話してみたいの。それでダメなら……何度だって話を聞いて貰う為に……此処を……出る、から……」
「分かりました。雛里ちゃん達に直ぐに合流地点の伝令を幾人か送ります」

 そのまま、桃香様は俯いた。一つ二つと涙が零れて行く。
 桃香様は決めた。此処の民を見捨てる事を。
 理想を叶える為に、現実を選んだ。

 そして私は言わない。これは言わないでいい。桃香様がそれを選べば全員で生き残る事が出来るから。きっと選んでくれるだろう。

 交渉の席を設けるのは私だから、絶対に成功させる。

 曹操さんは絶対に話に応じてくれはしない。というより、対価に何を求められるか予想出来てしまった。洛陽で探りを入れてきたのを思い出して。

 あの人は……アレを求める。

 私達の大切なモノを。

 絶対に渡さない。渡してたまるもんか。

 私達の元にいないとダメなんだ。

 少しでも機会を与えたら奪われてしまう。

 だからあの人は……秋斗さんだけは……絶対に渡さない。
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