麒麟と鳳凰、仁君と伏竜
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もしている事。そうだ、落ち着いて思考を回さなければいい案なんて浮かばない。一口お茶を飲んで思考を巡らせる。
私達と彼らを分断する事が狙いだったのか。白蓮さんを送ってくれた事でしっかりと情報が入った。これで私達は動くことが出来る。
この窮地をどう乗り越えるか。
確実に袁術軍にも情報が入っているだろうから総攻撃を仕掛けてくるのは必至。秋斗さんと雛里ちゃんを呼び戻して対応しても徐州は袁紹軍の手に落ちる。
そこで、私の頭の中で一人の女の子がにやりと笑った。黒い髪を片方だけ耳の上で括って、平坦な話し方をする彼女の笑みに不快感が込み上げてくる。
――まさか……これは田豊さんの策略!? 彼に勧誘を掛けたのも、全てはこの時を狙っての事!
思い至れば早い。袁家二分は欺瞞分裂。私達は圧倒的な兵数に挟撃されてそこで終わる事になる。
込み上げてくる悔しさに歯を噛みしめた。私は彼女にまた負けた。いいように掌の上で転がされていたんだ。
――でも……ここからは負けない。負けてたまるもんか!
心の内で強く呟いて思考を回しながら白蓮さんを見つめる。
「何時、城を出ましたか? 兵数と敵将は?」
「……二日前だ。兵数は五万、敵将は文醜、張コウ。軍師に郭図と田豊だ」
「分かりました。桃香様、皆で話し合う時間は残されていません。袁紹軍は既に国境付近にまで到達している事でしょう。降伏しないのならば、これからの私達の動き方を三つ上げますのでそれから選んでください」
桃香様に目を向けると、ゴクリと喉を鳴らし、力強い信頼の瞳を向けてくれた。田豊さんの策を打ち破る為には私達だけでは不可能。現状では絶望的だから……
「一つ、本城の秋斗さん達を囮として私達が救援に向かい、袁紹軍を全力で叩く事。時間との勝負となりますので膨大な犠牲を伴うのは確定的であり、最後まで勝ちの目を信じて本城で立てこもって戦います。
一つ、曹操さんに同盟を求める事。その場合、対価として首輪を付けられる事も覚悟してください。
一つ、袁術軍と孫策軍を無理やり抜いて荊州まで逃げる事。兵の半数は脱落確定、将も幾人か失う可能性が高いです」
言い切ると、ほうと白蓮さんが息を付いた。悩み始めた桃香様から目を切って視線を向けると、
「秋斗と雛里の言った通りだな。あっちもその三つを考えていた」
二人が私と同じ展開を考えてくれていた事にほっと安堵の息が漏れ出た。同時に、白蓮さんをここに送った理由も納得する。
どの選択をするにしろ全軍の集結は絶対に必要だろう。きっとその先の展開まで予測してくれている。
「他には何か言ってませんでしたか?」
「二番目のについて、雛里は曹操を巻き込んで五つの軍で大戦を築くと言っていた」
――同盟では無く巻き込む……そ
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