第六話:崩壊
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突然のことで俺も含め周りの人たちは皆、呆然とその姿を見入っている。数秒後、巨人がゆっくりと動き出した。そして、その動きが止まったかと思えば、次に、少し前傾姿勢だった体を勢い良く起こした。
ドゴォオオオオオオオオオオオオン!!!
凄まじい破壊音と共に壁が壊された。人々はその事実を認めた瞬間、体の向きを変えてウォール・マリア側に全速力で逃げ出した。空には破壊された壁の破片や塊が宙を舞い街に落下していく。
壁に空いた穴からは巨人達が入ってくる。人々が逃げ惑う中、俺はウォール・マリアとは逆の方向、自分の家の方向に走り出した。家には父さん、母さん、フローラが居たはずだ。行ってみて、家の中にいなかったのならもう、避難したと考えていいだろう。
けれど、俺はどうしても不安を払うことができず、家までの最短ルートを人混みを避けて走っていく。
息が上がっていく、足が縺れこけかけたりもした。それでも俺は、懸命に走り続けた。家が、家族が無事なことを信じて。
(なっ!!!!!??)
そして、家のすぐ近くの裏道を抜けたとき、そこには、地獄があった。15メートルほどの巨人が俺の家周辺の家を壊し、逃げそびれた人を丸ごと食ったり体の一部だけを齧りとり道に捨てるという信じられないような現実が目に映った。
不幸中の幸いか、俺の家は、巨人にまだ破壊されてはいない。
しかし、俺の家は大人の身長くらいの壁の破片が突き刺さっていた。辛うじて家自体は崩れず形を保っている。巨人に目を向けると食っていた人をどこかへ投げ捨て、俺達の家へ向かおうとしていた。それを見て俺は、足元にあった拳大の大きさの石を巨人に向かって投げつけた。石は直線上に飛び巨人の後頭部に当たった。
それに気付いた巨人がゆっくりとこちらに顔を向ける。こちらに完全に身体ごと向けたとき、その巨人はニヤリと、背筋を凍らせるような表情を浮かべた。
(怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い)
その表情に俺は数時間前に見た巨人への恐怖を思い出した。巨人はゆっくりとこちらに向かって歩いてくる。正直、ウォール・マリアに向けて全力で走って逃げ出したい。
(いや!大丈夫だ。裏道を上手く使えばあいつをここから引き離せてしかも、上手く撒けるはずだ)
しかし、家族の安否を確かめるまではウォール・マリアへは逃げれなかった。
俺は裏道に向けて走り出くこちらに向かってくる巨人に再度、石を投げつつ誘導する。この辺りに住む俺はここの道は繊細に覚えている。巨人を家から離し再度、家に戻るため、右へ、左へと裏道を走る。
家から十分に巨人を離すと、次は巨人を撒き、家に向かって再び走り出した。
家の近辺まで来ても巨人達の姿は遠くにした見当たらず勢いよく家の扉は岩があり完全に閉ざされていた。小さく舌打
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