一部 浮遊城アインクラッド編
《笑う棺桶》、運命の刻
仲間
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戦場はまさに地獄と化していた。
絶え間なく降り注ぐソードスキルの雨、それと重なって響くプレイヤー達の叫び声、余りの恐ろしさに転移して離脱する者、何も考えられずに消えていく者。
しかし、その中でも恐怖を押し殺し、あるいは感じずに戦う者達もいた。
「急いで! 扉まで走るんだ!」
ユウマは攻撃を可能な限り防ぎながら味方を外へと誘導している。
ボス─サウザントハンド─はユウマを視界に捉える。
「──させない」
リンはサウザントハンドの顔面に4本の投剣を投げ当てる。
それによって、ターゲットがリンに移る。
幾つもの光の刃がリンに迫る──がリンはそれを苦なく避けていく。
「………余裕」
敵の攻撃を華麗に避けるその姿は妖精の名が相応しい。
リンの眼前では《剣聖》と《黒の剣士》が剣の雨を避けながらサウザントハンドとの距離を詰めていた。
「タイミングは合わせる、キリト」
と言って俺は腰から刀を抜く。
「ソウスケ、そのまま突っ込め!」
俺とキリトは更に距離を詰めていく。
ヤツの無数の剣が輝いた瞬間、
「下がれ!!」
キリトの声に従い後ろに飛び退く。
「今だソウスケ、行くぞ!」
俺達は巨大な剣と腕を伝い、頭部へと─
「風魔一刀流 伍ノ型《流星》!」
俺の最も得意とする風魔の型、十三連撃。
「はぁぁぁっ!!」
キリトが放ったのは《バーチカル・スクエア》だ。
俺とキリトが放ったソードスキルは全てサウザントハンドの顔面に直撃した。
「堅すぎだろ!?」
俺とキリトの渾身の計十七連撃がほとんど効いていない。
それどころか─
「キリトヤバい!避けろ!!」
絶賛落下中の俺達目掛けて無数の剣が降り注いでくる。
「避けろって言ったって空中じゃあ!!」
「なら転移!!」
俺達は転移結晶を取り出た。
「その必要はない」
その声と姿に俺とキリトは驚愕する。
「ヒースクリフ!?」
ヒースクリフはチラリとこっちを見ると、
「今、君達を一時的にでも戦列から失うのは痛手なのでね」
そう言う余裕を見せながら剣を防いでいく。
「まじかよ………」
俺はそう呟くしかなかった。
そして、長かった滞空時間も終わって地面に着地する。
「10分持たせよう」
ヒースクリフが突然そんなことを言った。
「?なんだ突然」
キリトが聞く。
「私の見立てでは頭部に近い場所に弱点があるのは間違いないだろう、君達が見つけてくれたまえ」
なんていう上から目線、だが──
「いいだろう、10分と言わず5分で決めてやる!──キリト、来い!」
俺はそう言ってヒースクリフから離れて扉まで駈ける。
「お、おい!」
扉を潜るとそこには死亡、または戦線離脱したプレイヤーを除く人達が座り込んでいた。
「キリト、ソウスケ、無事!?」
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