第一部 学園都市篇
序章 シャングリ・ラの少年
七月十六日:『青天の霹靂』
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う思っただろう。
だからこそ、ノーブレーキ。彼女が右手で空中に弾き上げたコインに気付く事もなく、ただただアクセルを踏み込み――――落ちてきたコインに合わせた再びの親指により、前方に向けて放たれた電磁投射砲の一撃を真正面から受けて吹き飛んだ。
「――――第三位『超電磁砲』……御坂?美琴お姉様ですわ」
路面すら砕いた一撃により、盛大に吹き飛んだ車がようやく停車する。いや、正確には廃車となっただけだが。
ドライバーは、失神しているが奇跡的にも生きている。エアバッグさまさまである。
「……マジかよ」
傘で残骸や粉塵を防ぎながら、嚆矢は呟く。開いた口が塞がらない、とはこの事だ。出鱈目にも程がある。
――流石、『一人で一国の軍隊を敵に回せる』強度の能力者……超能力者だな……有り得ん。
寒気がする強さだ。しかも、真に恐ろしいのは……そんな奴が、あと六人居るという事だろう。
「さて――で、まだやる?」
「え?」
と、振り返ったセミロングが、迸る電位と共に口を開く。それに、彼は今の状態を省みた。
即ち、『一人で一国の軍隊を敵に回せる』超能力者に拳銃を向けている具合になっている己を。
「――――待て、違う。俺はこいつらとは関係ない。いや、無いっつうか……」
「何よ、間怠っこしいわね……ハッキリしてくれる? 投降するか――――消し炭になるか」
不機嫌さにか、電圧が増した気がする。不味い状態である。それを本能的に理解し、嚆矢は左手でお守りを握り締めて『口伝』を起動した。
「待て、俺だ御坂! ほら、対馬だ! 去年の秋に会ったろ?!」
「対馬……去年の秋?」
こうなれば手段を選んで入られないと、両手を前に出して弁解する。
それに、セミロング……御坂美琴は、記憶を呼び起こすように思案し――――あっ、と表情を和らげた。
「あぁ、対馬さん! 去年の大覇星祭の時の?」
「そうそう、その対馬さんだよ!」
互いに、人差し指を向け合う。懐かしい相手に会った、と。
結論から言えば、それが悪かった。如何にフレンドリーに会話できていようとも。
「うっわ、なつかし〜! こんなところで何をしてるんですか? 銀行強盗?」
「御坂さんや、世の中には言っていい冗談と悪い冗談があるぞ。何せ俺は腐っても鯛の対馬さん――――」
「――――お姉様、危ない!」
悲鳴の如き叫びと共に、ツインテールが、瞬時に目の前に現れた。そして――――具合により、美琴に向けてしまった拳銃を蹴り上げる!
「フぎっ――――!?!!」
「あっ……目測を謝りましたわ。ごめん遊ばせ」
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