第二話 力
[3/3]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き
!!
誰でもいいから。
「たすけてくれぇぇぇぇぇええぇぇぇぇぇ!!!!!」
その瞬間、何かに躓いた……いや違う、限界が来て、足が上がらなかったんだ。体がゆっくりと傾いていくのが分かる。
俺はそれを他人事のように感じていた。
このまま倒れたら、優斗と聖が怪我をするというのを本能が察したのか優斗と聖を胸に抱き抱え、体を無理やりに反転させ背中から地面に倒れた。
「カハッ!」
肺に残っていた数少ない酸素が吐き出された。一瞬だけ呼吸が止まり、すぐに肺が酸素を求めたが上手く呼吸が出来ない。更に倒れる時に後頭部を打ったようだ。視界が若干チカチカする。
それでも、護らなければならない存在がいるんだ! 絶対に護る!!
その一心で立ち上がろうとするが、力が入らないためか立ち上がる以前に顔を動かす事すらも出来ない。
此処までなのか? せめて聖と優斗だけでも!!
『……汝力を求めるか……』
突如として周りの風景が白黒になり全てがスローモーションになった。更には頭の中に男か女、ましてや若いのか年配なのか判断がつかない声が響いた。
この声が何者なのか分からないし、信用できるのかもわからない。だけど、今の俺にはそんな悠長に構っていられる時間はなかった。
だから俺は求めた。力を……聖と優斗を護るために、力を!!
「力を!!!!!」
「護る力を!!!!!」
『なら我が名を呼べ』
もう名は分かっている。いや違う、知っている。
『「我が名は!」』
『「閻魔!!」』
彼を中心に光の幕が張られ弾けた。
「「……ぱぱ……」」
『聖、優斗。もう大丈夫だ』
自分の声に若干のエコーがかかっていた。黒色だった目は真っ赤に染まり、髪の毛が若干赤みがかった黒色になっていた。
服装は変わらず、黒のインナーにジーパンのままだった。何よりも目を引くのが、彼の右手に収まっている刃渡り1m以上あるのではないかと思われる野太刀だった。
俺は不安がっている聖と優斗の頭を撫でて前を見据えた。
楕円型のロボットが2体ほどいた。特徴としては真ん中より少し上の方に赤いレンズがあるってことぐらいだ。
俺は腰を落として野太刀を左手に持ち替えて、右手を柄に添えた。
『宗衛流が師範代。宗衛健吾』
『参る!!』
俺は駆けた。大切な家族を守るために……
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ