第二部 文化祭
第50話 謎の少女
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コピーされたものだとは到底思いがたかった。やはり、ユイはユイなのだ。
「と、ところでパパ。今日呼び出した理由なのですが……」
「お、おお。何か用事でもあったのか? しかも、こんな森に」
「はい。━━以前パパが話していた、わたしを助けてくれたっていうフーデットケープの女の人……もしかすると、この森の中にいるかもしれないんです!」
━━一瞬の沈黙。
ユイの消滅に絶望していた俺とアスナの前に突然現れ、何をしたのかはよくわからないが、ユイをもう一度呼び戻してくれた、あの謎の少女。
「えっ……どういうことだ?」
「わたし、パパとママが学校に行っている間は暇なので、よくここへ来るんです。そのときに、何度かその女の人らしい人物を見たことがあって……容姿は、パパが言っていた女の人と一致していました。ただ、パパからきいた情報ではあまりにも不確定要素が多いので、断定はできませんが……少し気になりますし、森へ入ってみませんか?」
あの少女が何者なのか、きちんと確かめたい。会って、お礼がしたい。
「どうします、パパ……?」
別に、森へ入っても何かが減るわけではない。それに、ここには俺の命が危うくなるほど強いモンスターはいないはずだ。あの少女と、もう一度会える可能性が僅かでもあるかもしれないなら……行ってみる価値はあるだろう。
「……ちょっと行ってみるよ。ユイは家で待っててくれ。レベルの低い森とはいえ、すべてモンスターからユイを庇える自信はないからな」
俺の言葉に、ユイは素直に頷いた。そして言う。
「なるべく早く帰ってきてくださいね。このあとのリハーサルに、ちゃんと間に合うように」
**
「………………」
━━遅いなぁ、キリト君。
リハーサル開始予定時刻はとっくに過ぎている。
━━絶対遅れたりしちゃだめだからね。もし、サボったりしたら……どうなるか、わかってるわよね?
明日奈があれだけ念押ししたというのに、和人はまだ来ない。
一応メッセージは何件か送信してみたのだが、和人からの返信はない。
諦めて、先に準備を始めてしまおうとしたそのとき。
「━━遅れてすみません!」
ユイの鈴の音を鳴らすような声がすると同時に、明日奈たちのいる音楽室の扉が勢いよく開いた。
「ううん、大丈夫だよユイちゃん。ところでさ、キリト君知らない……?」
訊いてみると、ユイは小さく首を振り、ぽつりぽつりと話し始めた。
ユイ曰く、和人は今アルヴヘイムの森の中にいるらしい。ユイを助けてくれた、あの謎の少女を捜すために。
「なるべく早く、リハーサルまでには帰ってくるようにお願いしたのですが……まだ帰ってこないなんて、あまりにも遅いです。何かあったのでしょうか…
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