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遊戯王GX〜鉄砲水の四方山話〜
ターン3 鉄砲水と光の天使
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「はい、仕込み終わりっと。葵ちゃんどう?もう準備するものないよね?」
「そうですね。予約分でやっておくことはとっくの昔に終わってます。というかいくらなんでも作りすぎですよ先輩。注文のあてもないのにこんなに作って悪くなったらどうするんですか」
「あはは。だいじょーぶだよきっと、もうすぐやる新入生歓迎集会ですぐ捌けるはずだから」
「…………すごくそれっぽいこと言ってますけど、絶対それたった今考えましたよね」
「あ、ばれた?」

 まったくもう、と息を吐く葵ちゃん。さっきまでお昼だったはずなのに、ふと気が付けば太陽も沈みかかっている程度の時刻。つい熱中して商売(菓子作り)に精を出しすぎたようだけど、なんだかんだ言って最後まで付き合ってくれた葵ちゃんには感謝。

「さてと、夕飯も作らなきゃだしそろそろ帰ろうか。もうすぐ暗くなるし、近くまで送ってくよ」
「好き好んで自分で夕飯作ってる寮なんて先輩のオシリスレッドくらいのものですけどね。じゃあ、せっかくですしお願いしましょうか。………でも、たぶん今来ても夢想先輩には会えないと思いますよ?」

 あ、バレてた。これ以上ぼろを出すのは避けようとその言葉を最後に手早く片づけを済ませ、電気を消して外に出る。連れ立って歩くとはいえ特に何か話すわけでもないが、この距離感は割と気に入ってるので気まずくはない。いっぺん気を使って色々話しかけてみたこともあったけど、その時は彼女から別に気を遣わなくていいですよ、私もあの距離感は悪くありませんし、ってあっさり言われたのでその言葉に甘えることにしている。のんびり歩いていると、すぐにブルー寮が見えてきた。
 一応は男子禁制、あまり近づくわけにもいかないのである程度近くまで来たあたりでそれじゃあ、と手を振って帰ろうとすると、白いスーツ姿の少年が歩いてくるのとすれ違った。見ない顔だし新入生かな、と思いながら軽く会釈すると、あ、という返事が返ってきた。

「あの、もしかしてオシリスレッドの遊野先輩ですか?僕、新入生のエドっていいます。ぶしつけなお願いですが、僕とデュエルしていただけないでしょうか」
「え?」
「さっきレッド寮に行ったんですけどいなかったものですから今日はもう会えないのかと思ってたら………うわあ、嬉しいです」

 さわやかーな笑顔でそんなことを堂々と言ってくるエド。うん、まあ、悪い気はしない、かな。ただなんとなく、何となくだけど嫌な予感のようなものがする。よし、少し探ってみるか。

「それはいいとして、なんで僕のことが……?」
「そりゃあ、この学校で赤い制服を着ている人なんて数少ないですからね。すぐにわかりましたよ」

 うーん、悪い人には見えないなあ。こういう時はしょうがない、十代方式で行くか。
 いわく、デュエルすれば分かり合える。

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