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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
闖入劇場
第七五幕 「ドゥエンデ」
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が、何かが間違っている。そんな気はしても確かめる術がないというか、言い出した自分がそんなことを言い出すと話がややこしくなるというか・・・とにかく雰囲気にのまれてしまったユウは二人の想わぬ大絶賛に首肯するしかなかった。

――その直後、けたたましいサイレンと共に最上重工に存在する全防護シャッターが閉鎖された。



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かつ、かつ、かつ、と誰もいない通路に足音が響く。足音の主は何所にでもいるようなとりわけ特徴のない女の子。学生服にカバンを持っていることから地元の学生であることが見て取れる。だが、彼女の通る通路が関係者以外立ち入り禁止であること・・・そして彼女が一切の意思を感じられぬような無表情であることを考えれば、それが異常な光景であるかが伺えるだろう。
現在この通路の先では男性IS操縦者のデータ収集が行われており、社の警備員以外にも政府と学園がそれぞれ人員を派遣しての警備が行われていたのだが・・・それらの人員は誰一人例外なく倒れ伏していた。

彼女の手には一昔前の携帯電話に良く似たものが握られており、彼女の指はその画面すら全く見ずにひっきりなしの操作を続けていた。指の動きと共にそれにぶら下がったストラップが揺れる。やがてその端末からPiPi、と電子音が鳴り響く。その画面に表示された文字は、彼女の手に持つ端末が社内の全警備システムの操作権を剥奪したことを告げていた。

やがて少女は鋼鉄製のハッチの前でピタリと立ち止まり、手に持っていた鞄を床に落とした。かしゃん、という金属のぶつかる音と共に落ちた鞄が綺麗に床に“設置”される。そのアクションと同時に鞄は強烈なジャミング波を放出し、ここいら一帯の通信機能を著しく阻害した。役目を終えれば部品の一つも残さずに自壊するため、証拠隠滅を図る必要もない。

この空間内ではISのコアネットワークでさえ限定された距離でしか通じない。この中で情報の送・受・通信が行えるのは彼女が手に握った端末と、それに対応した通信機のみ。彼女はどこか人間らしさを感じさせない機械的な動きでその端末を口元に近づける。口から洩れる声は抑揚のない淡々とした、人工音声かと疑うほどに響かない音声。


「――アニマス16、最上重工内部訓練棟へ潜入成功。これより潜伏任務を一時的に破棄。アダム2及びそのISへの威力偵察、及び可能ならば拉致を目的とした強襲任務を実行します。アニマス28は所定の指示あるまで現任務を続行されたし――」

感情の篭らない機械的な連絡と共に彼女の端末がひとりでにバラリと分解され、光に変わってゆく。見る者が見ればIS量子化の光と酷似していることが分かるそれに身を包まれた少女の身体は次々に装甲で覆われてゆき――やがてその身体は鈍色(にびいろ)の全身装甲に姿を変えた。



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