番外8話『気づけば』
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た……これは自分で評価するのもなんだけどうまい気がする。
いやいや、そんなことはどうでもよくて。
「ナミ」
「?」
「頼むから無理はしないでくれ」
「無理なんてしてないわよ?」
俺の顔をのぞき込むナミは、元気で笑顔で、いつも通りで……だから、少しだけ――
「俺はずっと寝てたからナミがどういう病気だったかなんてわからないけど、あれが尋常じゃない状態だったってことぐらいはわかる。倒れたお前は大丈夫って言ってアラバスタに行こうとしたけど本当に死んでたらどうすんだよ」
――むかついた。
「な、なによ急に……真面目な顔して」
珍しくナミがどもった。
普段ならそんな姿を見ただけで怒りが引っ込みそうなものなんだけど、この感情は収まりそうにない。どうやら俺は少しムカつくとかではなく随分とむかついているらしい。
「船のみんながどれだけお前のこと心配してたか、ナミだってたまに意識があったんだからわかってるだろ?」
「……」
俺はナミと喧嘩をしたことなんてないし、こうやって真面目な表情でナミに問い詰めるような真似だってしたことなかった。
今日が初めてだ。
多分、だからだろう。
結構短気なナミが、俺よりもずっと頭のいいナミが文句を言ってこないのは。
怒りとかそういう感情よりも、なによりもまず今のナミの中には驚きの感情が入ってるはずだ。
「大丈夫じゃないのに大丈夫なんて言わないでくれよ」
「仕方ないじゃない! だって急がないとアラバスタがどうなるか! それに本当はビビだって辛いのにそれを我慢して――」
わかってるんだ。ナミの心根は誰よりもやさしくて、これ以上、国に追いつめられるビビが心配で、そんなビビを見ているのが辛かったんだって。だからアラバスタへ急ごうって言ったんだって
わかってる。きっと理はナミの方にあるって。
わかってるんだ。でも――
ナミの言葉を遮ってでも、言わせてもらう。
「――ナミが死んだら俺が生きてる意味がないだろうが!」
「……へ」
ナミの言葉が止まった。
ナミの瞳を見つめて、言う。
「俺はナミの側にいたいのに……お前の側でルフィたちと一緒に海賊をやっていきたいのに! ……肝心のお前が俺から離れようとなんでしないでくれよ……ずっと一緒にいるって約束を破ろうとしないでくれよ! ……死んだら……お前が死んだら……俺がその後を追いかけたって会えるかどうすらかわからないんだぞ!?」
自分で言っていて両親のことを……ベルメールさんではなく俺を生んでくれたほうの両親のことを思い出した。
別にトラウマになっているわけじゃない。
俺には死んでしまった両親と、まだ生きてくれてる母親がいるからこそ、余計に死んでいることと生きてい
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