番外8話『気づけば』
[4/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
毛布にくるまっているかのようにすら感じる気持ちよさはいったい何だろうか。
もしかしてここは天国とかそういうオチで、んで気づけばナミみたいなびじかわいい天使が俺をお迎えに……ん? そういえば――
「――ナミっ!?」
反射的に目が覚めた。
ナミはどうなったのだろうか。ちゃんと医者に診てもらえのだろうか。
あわてて起き上ろうとすると、体の反応が少し鈍い。
「……?」
ベッドから立ち上がり、手を握ったり開いたりして力の入り具合を確認。
大丈夫、力が入らないというわけではない。多分、単なる寝すぎが原因だ。体がまだ寝ているのだろう。
ということは俺は随分と寝ていたのかもしれない。
「……あれ?」
今更だけど、自分がどこで寝ていたかに気づいた。
「……あれ、ベッド? ……ん? ここってナミの船室か?」
がっつりと見覚えがある。
ここは間違いなくナミの船室だ。
となるともしかしてドラム島を出たのか? それとも問題が起きて俺だけメリー号の船室で寝ているのか? いやいや、そもそもなんでナミの部屋?
「? ……? ……??」
状況がわからない。
ただ、ここでずっと首をかしげていても俺の頭でわかるわけがないということに今更ながら気づいた。とりあえずなんだか騒がしい甲板のほうに行ってみようとは思うのだけど、メリー号は構造的に、女部屋から甲板に行くためには倉庫に出なければならない。そのためまずは階段を上り、倉庫につながる階段扉を開ける。そのまま階段を上って倉庫に出たところで――
「――あ、目覚めたの?」
「……」
ナミがいた。
病気で辛そうにしているナミじゃない。いつもの元気で明るいナミだ。
その姿に、頭が真っ白になってしまってとっさに反応ができなかった。
「……ハント? おーい」
「……」
心配そうな顔で俺の顔をのぞき込んだり、目の前で手を振ったりしているナミは幻なのかもしれない。
意味もなくそう思って、顔の前で振られていた手をそっとつかんでみる。
「は、ハント?」
掴めた。
柔らかくて小さな手だ。
「……よかった」
やっと理解できた。
目の前にいるナミは本物で、もう病気も治って、いつものナミだ。
「ほんとよかった」
安堵しすぎて、膝から力が抜けた。
「……ちょ、ちょっとハント、大丈夫!?」
「ああ、安心したら……ちょっと」
アーロンをブッ飛ばした時はナミが腰抜かしてたけど、今度は俺が似たような状況になってしまった。
……恥ずかしい。
「ふふ、そんなに心配だった?」
おお、完全にいつも通りのびじきたない笑顔じゃないか。
美人と意地汚いと掛け合わせてみ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ