番外8話『気づけば』
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。なかなか動き出さないことから少しだけ心配そうに動く二人に、だがハントは生きていたらしく「うぅ」と呻き、ゆっくりと上半身を起こした。
「……き、効いた」
「あの高さから落ちて生きてるなんて」
「言うな、ビビ。こいつが色々とおかしいのはもうわかってたことだ」
呆然と呟くビビと、それに同意しつつも呆れた様子のウソップ。さりげなく失礼なことを言われたハントだが残念ながらそれを耳に情報として入れるほどの元気は残っていないらしくただ乱れた息を整えることにのみ集中している。
「そういえばなんであんなところから落ちてきたんだ、ハント?」
「他のみんなはどうなったの、ハントさん?」
二人に問いかけられ、そして名前を呼ばれたことでやっとハントも彼らに気づいた。
「おお……二人とも……ふぅ……ちょうど……いい……とこ、ろに……たすかった、かな?」
「気づいてなかったのかよ!」
突っ込みを入れるウソップの言葉に普段のハントならばそれにノッて答えるのだろうが、完全なガス欠状態の彼にそれができるはずもなく、というよりもウソップのそれも聞いていないのだろう。それには全くの反応を見せずにゆっくりと呼吸を繰り返して「完全に……すっからかんだ……これ」と自嘲の色をこめたような、かすれた声でつぶやいた。
この時点で普段の様子とは違うことに二人もやっと気付いた。
「……ハントさん?」
怪訝な表情で、そして冷静な声でのビビの問いかけにハントも今度は聞き取れたらしく反応を。
「あいつらは……心配ない……俺だけ、離脱した」
「おい、大丈夫か?」
ウソップの言葉を受けて、ハントは笑みを浮かべて「限界だから……あと……頼む」と、そのまま起こしていた上半身をバタリとまた雪の床へと沈み込ませた。
「は、ハントさん!?」
「ハント!」
――目が覚めたら、ナミが元気になってますように。
それを思いながら、ハントは意識を失った。
「……」
「あ、寝てるだけかよ」
そんなウソップの突っ込みも、微かにハントの耳に届いていた。
「あっはっはっはっは!」
「めでてー! めでてー!」
居心地の良い暗闇の中、ふと耳に音が入ってきた。
何の音だろうかと、感覚的に思った。
心地よいまどろみに包まれていたはずの俺の世界に突如として侵入してきたその音は、騒がしくもどうしてか心地よくて、なんでもいいかと身をゆだねてしまう。まどろみにあった自分の意識を手放そうとして、そういえば俺は今どこにいるんだろうという考えが脳裏をよぎった。
最後にウソップとビビに会った気がしたけど、あれからどうしたんだろうか。
っていうか俺は今生きているんだろうか。
この妙に暖かい、まるで
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