トッキュウジャー合体SP編
第28話 さらわれた舞
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
紘汰と光実は目を瞠り、戒斗はその足を止めてふり返った。
「ライトくん、どうして? 舞さん、烈車にいるんじゃなかったの?」
「……舞ちゃんにバレちまったんだ。舞ちゃんだけ烈車にいるよう紘汰に頼まれたこと。そしたら舞ちゃん、最寄りの駅で降りちゃって……その時、バダンに。あのモグラ野郎、舞ちゃんの命が惜しかったらバダンの邪魔はするな、って」
すると光実がライトの胸倉を掴み上げた。
「光実くん!?」
「一緒にいながらどうして! 何のために紘汰さんが舞さんを遠ざけたと思って……!」
「ミッチっ!! ――ライトのせいじゃない。この判断をしたのは俺だ」
光実は歯噛みし、突き飛ばすようにライトを離して背を向けた。
光実の握った拳は、震えている。咲はそっと光実の拳を両手で包んだ。光実は咲を見下ろし、咲の手を一度強く握り返し、離した。
「僕が舞さんの居場所を見つけます。舞さんは――僕が必ず助けるんだ」
光実がスマートホンを出し、どこかに電話し始める。電話しながら光実は場を歩き去った。
居場所を見つける、と言って去った光実は、1時間と経たずに紘汰たちの下へ戻ってきた。舞が捕まっているであろう、バダンのアジトの廃ビルの位置を突き止めて。
どうやって突き止めたかは、鬼気迫る様子の光実から聞く勇気が湧かない紘汰だった。
「よぉっし。早速行こ…」
「待ってくださいっ。真正面から行って、人質の舞さんに何かあったらどうするんですか」
一度、舞を気づかず降ろしてしまったライトは、しゅんとして引っ込んだ。
「要は作戦が必要ってことだろ」
戒斗が言った。バダンとの闘争に積極的でなかったくせに、舞が囚われたと聞いてから何故かずっと付いて来ている。
これについても、理由を深く追求すると帰られかねないので、黙っている紘汰である。
(考えると辛くなってきた。咲ちゃんいなかったら精神的に逃げ場なくてヤバかったかも)
メンバーの中で唯一邪気がない咲を見下ろす。咲は愛らしく小首を傾げた。紘汰はこっそりガッツポーズした。
光実が立てた作戦は至って単純だった。
まず廃ビルの前で龍玄とバロンが仲間割れして見せる。そうしてバダンをおびき寄せ、その隙に紘汰とライトが、舞が囚われたフロアへ侵入する――というものだ。
(割とミッチと戒斗が本気でやり合ってるっぽいのは見なかったことにしよう)
さらに保険として、もう一つの策を光実は提案した。これは咲にしかできないことなので、紘汰は咲を信じて送り出し、ライトと廃ビルに突入した。
(せまい)
月花はある場所を進みながら、一度止まって溜息をついた。
(暗いしホコリっぽいし。光実くんの作戦
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ