自称王と他称王
七話
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は両手を頭横に置き、起き上りながら蹴りを放つ。
砕牙!
腕より長い脚がカウンターの形でアレクの肩に決まる。アインハルトは蹴った反動を利用して立ちアレクを見据える。
まだアレクは体勢を整えきれてない。今なら必勝の一撃を入れられる。アインハルトは一歩踏み出そうとして……踏み出せなかった。胴への一撃が効いているのだ。
この足では満足に動けない、断空も生み出せない。このまま暴雨を浴びれば、成す術もない。不味い、とアインハルトは強張るが、アレクは調子を確かめるように肩を回していた。
もう勝者の積もりか、それとも脅威足り得ないとでも言うのか。どちらにせよ、アインハルトには流せる事ではない。
「……余裕のつもりですか?」
「いんや、違う」
「では、何だと言うのですか?」
「こちとらお前と関わった所為でで自由どころか生活にまで圧迫されてんだ。全力のお前をブチのめさねえと気が済まねえし、割に合わねえ。そして面倒くせえ縁も終わりにしてやる」
アレクの視線から、嘘は見受けられない。十全の自分を倒す気なのだとアインハルトは理解すると、奇妙な感覚に陥った。
待っていたのは自分だった筈なのに、今は待たせている。それも求められているのは自分で、クラウスではない。喜ぶべきか、悲しむべきなのか判らない。
だが、最後の一言は受け入れられない。
自分もアレク/彼もまだまだ未熟で伸びしろは存分にある。力を付け強く成ったとしても確かめる術がないのでは、悲願も叶わない。
ならば、得れば良い。勝者は絶対という戦場の習わしをアレク/彼が言ったのだ。勝って得よう。
腿を叩き足に喝を入れる。思いっきり叩いたので痛みが走るが、足腰に力が戻って来た。
「では、私が勝者となったのなら、貴方の此れから全てを貰い受けます」
「……は?」
アインハルトは言い切ると同時に身体強化を施し前へ跳ぶ。
アレクはアインハルトの問題発言で対応に遅れるが、なんとか飛来する拳を受け止める。
「……お前、何言ってるか、解かってんか!?」
「勝者が全ての権利を持てる戦場の理です。貴方が勝者となったなら、私を好きにすればいい!!」
「いや、だから――ちっ!」
アレクは舌打ちしながら顔面を狙う拳を防ぎながら前蹴りを繰り出す。
受けたアインハルトは大した威力でなかったので、そのままもう一撃叩き込もうとする……が、悪寒を感じ即座に頭を下げる。
寸後、頭部があった所を蹴りが通過した。繰り出した前蹴りを軸にした回し蹴りだ。
食らえば一溜りもなかっただろうが、躱したのならば関係無い。もう一歩踏み込みながら、足先から力を練り上げ、――打ち出す!
覇王 断空拳!
腹目掛けて打ち込んだ……が、やけに硬い感触だった。恐らく手甲を割
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