暁 〜小説投稿サイト〜
Element Magic Trinity
Rootsmemory of Elementerers編
Prelude of Trinity
[2/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
、ルーはふと目線を前に向ける。
そこには古そうな鏡があり、ルーの顔を映していた。

(・・・こんな鏡、うちにもあったなぁ・・・こういうの、母さんが好きだったっけ)

今は亡き、ルーの両親。
両親だけじゃない。
今ルーが故郷に帰っても、あるのは数えきれないほどの墓だけだ。

(父さんは本が好きだったっけ・・・確か父さんの部屋はこのお店みたいに本棚だらけで・・・)

目を閉じる。
それと同時に、ぶわっと昔の記憶が流れる。
日の光みたいに温かくて優しかった両親の記憶。
近所の人や祖父母、少し意地悪だった年上の男の子によく泣いていた女の子。
思い出せばすぐ傍にあるのに、手を伸ばしても届かない。
懐かしい記憶を次々にフラッシュバックして、ルーは1人の少女を思い出す。

(サヤ・・・)

光を受けてキラキラと輝く金髪。
茶色がかった、大きく睫毛の長い瞳。
思い出せば、自分はいつもあの子の側にいた気がする。
記憶の中の少女は軽やかな声で、可愛らしい笑みを浮かべながら、こう言うのだ。



『ずっと一緒にいようね、ルー!』



ずっと一緒。
その願いは、叶わなかった。
もうあの声を聞く事も、あの笑顔を見る事も出来ない。

(今となったらずっと一緒、なんて約束出来ないだろうな・・・)

ずっと、永遠に一緒にいる事なんて出来ないから。
ルーはそれを、嫌という程思い知った。
10年前の、あの日に。

「ルー!」
「!」

突然声を掛けられ、ルーは驚いて目を見開いた。
そこには金髪に茶色がかった瞳の少女。
ルーは思わず呟いた。

「サヤ・・・?」
「え?」

知らない名前で呼ばれたルーシィは首を傾げる。
そこでルーはハッとしたように小さく震えた。
そして、いつもの様にニコニコと笑う。

「あ、ルーシィ。どうしたの?本決まった?」
「え?あ、うん。でも今、サヤって・・・」
「気のせいだよ。さ、お会計しちゃおう!」
「うん・・・」

満面の笑みで笑いかけるルーに違和感を覚えながらも、ルーシィはレジへと向かっていく。
再び抱えた本の重さに一瞬よろめきながらも、ルーはレジへ向かう。
古びた鏡の前で立ち止まり、自分の顔を見つめる。
男というより女に見える童顔はいつもと変わっていない。

(違う・・・ルーシィはサヤじゃない。僕がルーシィを好きなのは、サヤに似てるからじゃない)

自分に言い聞かせるように頷き、ルーはレジへと本を置いた。














「あーーーーっ!」

叫び声が響いた。
わなわなと震えるアルカの視線の先には、目覚まし時計。
―――――もっと正確に言えば、ぐるぐると休む事無く長針と短針が回って
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ