Rootsmemory of Elementerers編
Prelude of Trinity
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、ルーはふと目線を前に向ける。
そこには古そうな鏡があり、ルーの顔を映していた。
(・・・こんな鏡、うちにもあったなぁ・・・こういうの、母さんが好きだったっけ)
今は亡き、ルーの両親。
両親だけじゃない。
今ルーが故郷に帰っても、あるのは数えきれないほどの墓だけだ。
(父さんは本が好きだったっけ・・・確か父さんの部屋はこのお店みたいに本棚だらけで・・・)
目を閉じる。
それと同時に、ぶわっと昔の記憶が流れる。
日の光みたいに温かくて優しかった両親の記憶。
近所の人や祖父母、少し意地悪だった年上の男の子によく泣いていた女の子。
思い出せばすぐ傍にあるのに、手を伸ばしても届かない。
懐かしい記憶を次々にフラッシュバックして、ルーは1人の少女を思い出す。
(サヤ・・・)
光を受けてキラキラと輝く金髪。
茶色がかった、大きく睫毛の長い瞳。
思い出せば、自分はいつもあの子の側にいた気がする。
記憶の中の少女は軽やかな声で、可愛らしい笑みを浮かべながら、こう言うのだ。
『ずっと一緒にいようね、ルー!』
ずっと一緒。
その願いは、叶わなかった。
もうあの声を聞く事も、あの笑顔を見る事も出来ない。
(今となったらずっと一緒、なんて約束出来ないだろうな・・・)
ずっと、永遠に一緒にいる事なんて出来ないから。
ルーはそれを、嫌という程思い知った。
10年前の、あの日に。
「ルー!」
「!」
突然声を掛けられ、ルーは驚いて目を見開いた。
そこには金髪に茶色がかった瞳の少女。
ルーは思わず呟いた。
「サヤ・・・?」
「え?」
知らない名前で呼ばれたルーシィは首を傾げる。
そこでルーはハッとしたように小さく震えた。
そして、いつもの様にニコニコと笑う。
「あ、ルーシィ。どうしたの?本決まった?」
「え?あ、うん。でも今、サヤって・・・」
「気のせいだよ。さ、お会計しちゃおう!」
「うん・・・」
満面の笑みで笑いかけるルーに違和感を覚えながらも、ルーシィはレジへと向かっていく。
再び抱えた本の重さに一瞬よろめきながらも、ルーはレジへ向かう。
古びた鏡の前で立ち止まり、自分の顔を見つめる。
男というより女に見える童顔はいつもと変わっていない。
(違う・・・ルーシィはサヤじゃない。僕がルーシィを好きなのは、サヤに似てるからじゃない)
自分に言い聞かせるように頷き、ルーはレジへと本を置いた。
「あーーーーっ!」
叫び声が響いた。
わなわなと震えるアルカの視線の先には、目覚まし時計。
―――――もっと正確に言えば、ぐるぐると休む事無く長針と短針が回って
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