暁 〜小説投稿サイト〜
【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
役者は踊る
番外編 「あの風のように」
[4/4]

[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話



『イメージは時計の振り子。競輪やスケートのカーブでもいいけど、内角に少しずつ体を倒す・・・そうそう、そんな感じ!』
『うわー、なんかすっごい綺麗に曲がった気分になる!』
『でしょ?これの幅を少しずつ狭める様に・・・って、うええ!?な、何事!?』

指導をしていた佐藤がふと自分の周囲を見ると、アリーナ内で飛行練習をしていた数名が周囲を包囲していた。皆佐藤の言葉を聞き漏らすまいとハイパーセンサーと集音機能でデータを保存している。

『続けてください佐藤さん』
『お気になさらず、佐藤御大』
『1年2組の伍和と申します。あの、自分の訓練の参考にしたくて・・・駄目ですか?』
『伍和ちゃん以外図々しいね!?まぁいいけど、お願いだから動画流出とかやめてよ!?この前試合映像を編集した私のMADとか動画サイトに投稿されてすっごい恥ずかったんだからね!!?』

ちなみにその動画は権利者申し立てで削除してもらったそうだが、消した後も次々に亜種や再投稿が相次いだ所為で「フェニックス佐藤さん」と呼ばれているらしい。既に10万人規模のファンサイトが設立され、次の試合映像を今か今かと待ち望みにしているとか。

『顔赤くしてる佐藤さん可愛い』
『必死で削除しようとしてる佐藤さん可愛い』
『ベル君の世話をせっせと焼いてる佐藤さん可愛い』
『びっくりした拍子に変な声あげちゃう佐藤さん可愛い』
『いじめかっ!!佐藤さんが恥ずかしさの余り悶え苦しんでるから!練習進まなくなっちゃうからやめよう!ね?』

そういえば佐藤の元には不思議と嫉妬の感情が集まらないな、と千冬は思った。
ひょっとしたら、ベルーナの世話を焼くポジションが無ければあれほど周囲から尊敬の念は集めなかったかもしれない。羨望ではなく嫉妬の視線を浴びたかもしれない。そう考えると、佐藤は目に見えない所でベルーナに助けられているのかもしれない。

「しかしそうなると、あいつはデッケンの世話を焼けば焼くほど人気が上がっていくわけか。目立ちたがりでは無い筈なのに、難儀な奴だ」

羞恥から立ち直って飛行訓練を再開する平凡な顔立ちの少女を見ながら、千冬は柄にもなくクスクス笑った。もしもあいつが世界に飛び立ち脚光を浴びる日が来たら、その時はこう言って自慢しよう。

「私の自慢の教え子です」、と。

[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ