暁 〜小説投稿サイト〜
戦争を知る世代
第十五話 新しいチーム
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た森は、その半径が30kmを超える。その中には、森を育む大きな川がいくつも流れている。その川を越えて前線に物資を運ぶ為に、数多く“橋”が架けられている。その橋は、両勢力にとって重要な拠点として意味を持つ。それ故に、両勢力はそれらの橋に、いくつもの補給ルートを持っており、それを破壊されること、または、メインのルートを知られることは“勢力圏での敗退”を意味する。今回の任務は、メインのルートという訳ではないが、敵勢力の補給ルートの調査を主とする。・・破壊ではなく、あくまで調査である。ただ、前文にある通り、橋は両勢力にとって重要拠点である。それ故に、敵部隊との接触も十分に考えられる任務だった。

「トバリ隊長、このルートで宜しいですか?」
私は、第88小隊の新任隊長に問い掛ける。小夜啼トバリ・・・木の葉上忍で、年齢は21歳。前は、“攻撃科 特殊作戦群”にいたという事から考えると、所謂、エリートなのだろう。あそこは、攻撃科の中でも援軍や奇襲、突撃作戦などを行う、木ノ葉ではトップクラスの危険度を持つ任務をすることで有名だ。気難しい人かと思っていたけど、全くそんなことを思わせない位、気さくな人だった。

「あぁ、そうだね。私が考えていたルートと同じだ。イナリ君、君は作戦参謀としての才覚があるね。」
ニカっと大きく、笑いながらそう言った。初めて会った時からの、この人の癖だった。私達に向けて、こちらが笑顔をつられてしまうように笑う。

「ちぇ、俺はこっちのルートがいいと思ったのに。隊長は、そっちがいいのかぁ・・」
カタナが、口を尖らせて文句を言っている。その姿が何となく、スズメに似ていて可愛いなと思って、笑ってしまった。

「あ、イナリ!笑ってやがる!この野郎!!」
そう言って、カタナは僕の首に手を回してきた。もちろん、冗談だが、首を絞められている。

「こら、遊んでる場合じゃないでしょう!」
少し呆れ気味の声で、ハナが僕達を諭す。

「ははは、いいぞーやれやれ、カタナ!」
と、隊長が止めもしないで煽っている。いやいや、隊長・・それは違う。そこは止める所ですよ。あなた、自分の立場を考えてくださいよ。

「隊長!煽ってどうするんですか!?」
隊長が、ハナに怒られて小さくなる。カタナもそろそろ、本当に怒られると思ってか、僕の首から手を放した。

「三人ともそこに座りなさい!あなた達はここがどこだか分かっているんですか!?そもそも・・・・」
この後、小一時間ほど説教が続いた。トバリ隊長が、この第88小隊に着任して3週間程、私たちは話す機会を多く持った。それが隊長の方針で、コミュニケーションを持てない小隊がチームを組むことが出来る訳がない、という事だった。だけど、おかげで隊長と僕、カタナ、ハナは大分打ち解けることが出来たと思う。ただ、何
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