暁 〜小説投稿サイト〜
戦争を知る世代
第十五話 新しいチーム
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・・そうさせるのだ、と。

パンパン、と手を叩く。

「大丈夫、その思いを君達に持ってもらいたいのと同じで、私も守らなきゃいけないし、伝えていかなきゃいけない。だから、君たちの事は私が守る。」
にかっと大きく、これでもかと笑顔を作った。これで、少しは安心できるだろうか。私は、何を考えていたのだろうか。アカデミーの生徒の子守なら、後方任務だから“あんな思い”をしなくても良いと思っていた。そうじゃない・・・こんな小さな子供でも、他人の事を思い遣っている。私が守らなくては・・・彼らに“死ぬ恐怖”など、味あわせてはいけない。


「さて、重要事項二つ目、行っとこうか。次の任務が決まりました。内容は偵察、敵の補給線がどこにあるのか、どのような規模なのか、これを偵察します。8個小隊が国境で戦闘を起こし、注意を引き付けます。その間に、我々が偵察する。ただ、偵察は私達とは別に2個小隊も行います。敵地に潜入しての任務になり、危険度は増しますが一番楽なルートを任されています。気楽に行きましょう。」

「いや、気楽にって、そんな。」
カタナが、嘆息気味に声を漏らす。

私は懐から3つ巻物を取り出して、三人の前に一つずつ置いた。
「ここに詳細があります。よく読んでおくように。読んだら、いつも通り処分してください。」

「「はい」」

「よし、そしたら以上で、解散。」
その話で、私たちは解散した。彼らはここに来た時よりも、少しは晴れた顔をして帰って行った。木の葉では、10歳程で戦場を経験する事は、そんなに多い事ではない。10歳以下で、戦場に出るような子はごく一部の天才で、その他は12、3歳頃からだろう。まぁ、優秀な子達であれば、10歳ぐらいでアカデミーを卒業して、下忍となる。しかし、そこでは本当に後方任務だけだ。イナリ君たちが経験した補給任務など、あの歳でするものではない。それだけ、木の葉は追い込まれつつある。岩隠れとの戦争が始まって以来、木の葉に大きな勝利はない。あのサクモさんや、伝説の三忍でさえも勝利を呼び込むことは出来ていない。それほどまでに、敵の“天戸衆”は強大な力を有しているのだ。私も・・・恐らく、“天戸衆”と思しき輩と対峙したが、訳の分からない力だった。まったく、歯が立たなかった。あの時の記憶は、ほとんど“恐怖”しか残っていない・・“死の恐怖”しか。あの子達は、守らなくてはいけない。必ず・・・。



火の国暦60年8月5日 早朝
土の国 岩隠れの里勢力圏 暁の森〜神無毘橋周辺
ふしみイナリ



暁の森・・・火の国、草の国、雨の国の境にある三つの国に跨る大きな森。国境の境と言うだけではなく、木の葉と岩隠れが、お互いの勢力圏を一進一退させている激戦区だ。雨隠れと草隠れは、現在岩隠れの勢力圏にある。ほぼ、円形の形をし
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