暁 〜小説投稿サイト〜
とある物語の傍観者だった者
8話:幻想御手
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―――幻想御手(レベルアッパー)―――

 始めは都市伝説として、いつしか気がつけば誰でも簡単に手に入れることができる流行アイテムのような存在になっていた。

 パソコンやケータイから簡単にダウンロードでき、ただ音楽プレイヤーで聞くだけで、能力者のレベルを簡単に引き上げることのできるプログラムである。

 レベル2程度の能力者がレベル4の大能力者へと。レベル0の無能力者だとしても能力を開花させることができるのだ。

 自身のレベルにコンプレックスを持つ者、もっと強くなりたい者たち、人の数だけ理由があり夢が詰まった代物だった。

 まぁそのおかげで何か勘違いした輩がヒャッハーして事件を起すんだけど。先日、某デパートで爆破テロがあったり、風紀委員に恨みがあるやからが攻撃したとかはた迷惑だったがな。

 しかしだ。

 やはり世の中そう簡単ではないらしく、レベルアッパーがふしぎ〇アメであっても猛毒を隠し持っていた。

 ズルをした者たちを嘲笑うかのように……

 レベルアッパーの正体は、使用者の複数の人間の脳を繋げた「一つの巨大な脳」状のネットワークを構成し、一つの巨大なネットワークを作ることによって高度な演算能力をもつ演算装置を作るプログラムであった。これに能力者1人では不可能だった演算も、他者の脳にも処理させることで高度な演算が可能になった。

 しかし、常時ネットワークに接続しているため、常に自分の脳で誰かの能力の演算をさせられていることになるので、最終的には脳がネットワークにやられて、レベルアッパーを使用した能力者は昏睡状態に陥るハメとなる。

 ………。

 多くの犠牲者が出たそうだ。

 その中に、知り合いである佐天涙子もいた。

 彼女はレベル0だ。自分の才能にコンプレックスは持っていただろう。だから、それが例えズルだとか犯罪だとかいけないものだと知っていてもレベルアッパーを使った。

 現在、病院に搬送され入院中。

 そして、性質が悪いことに、オレは佐天さんがレベルアッパーを使うことを知っていたのにも関わらず、止める素振りさえしなかった。

 ………。

 もしかしたら彼女を説得できたかもしれない。でもしなかった。

 もう言い訳でしかないが、物語を知っているオレから言わせもらったら、能力を始めて使えた日がどれだけ嬉しいか……

 それを止めるなんてできないし、何か気の利いた言葉をかけることなんてできなかった。

 とても情けなく自分が嫌になるぜ……

 結局は面倒事に巻き込まれたくないだけかよ……くそが。










 prrrrrrrr。prrrrrrrr……

 電話だ。

 このタイミングでfrom御坂美琴……。

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