高校一年
第三話 どうしてここへ?
[1/4]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
第三話
「え〜、我が校の校訓は〜、自主自律と至誠の態度の涵養であり〜、え〜我が校は〜」
コクリ、コクリと翼は校長の訓話に舟を漕いでいた。
「!?」
しかし、唐突に殺気を感じて目を覚ます。
見回すと、体育館の隅、浅海が鬼の形相でこちらを見ていた。
「…………」
翼は何ともない振りをして、顔を上げる。
好村翼、高校生活いよいよ始まりである。
ーーーーーーーーーーーーーーー
入寮の翌日、三龍高校は入学式を行った。
そして、新入生240人の高校生活が始まった。
「はっ?」
翼は思わず、クラス分けの掲示を見て声を上げてしまった。クラスは1-3。鷹合と宮園と一緒だった。
(クラスまで一緒なのかよ…)
昨日顔見知りになった4人の中でも、ベタベタとうっとうしく奇行が目立つ鷹合と、やたらと尊大な態度が目立つ宮園。癖の強い2人と同じクラスになってしまった。極め付けは、副担任が浅海である。
(7つもクラスあるのに、どうしてこうなるんだか)
翼はため息をついた。
ーーーーーーーーーーーーーーー
「どうも、担任の幸村です。担当は理科、このクラスの化学の授業を担当するから、どうぞよろしく」
1-3の担任、幸村先生は中年の、いかにも「先生らしい」男の先生だった。副担任として最初のホームルームに顔を出している浅海は、若さといい、地味ではなくクールさが目立つスーツ姿といい、幸村とは実に対照的である。
「それじゃ、君らも自己紹介してくれ。出席番号1番からだ」
最初のホームルームにはこれが付き物である。全員の自己紹介。さっそく、出席番号1番から、名前、出身中学、部活、目標…おおよそテンプレートに沿った事を言う。ただ、テンプレートに自分をはめられない奴も中には居る。
「ヨッ!ミュージシャン!」
「おぉ!?好きな食い物カレー?あぁ、確かにカレーパンマンみたいな顔してんな!」
「いいねっ、未来のJリーガー!」
「おい帰宅部!今まで何してきたんや帰宅部!」
鷹合は、それぞれの自己紹介にいちいち適当な合いの手を入れていく。初対面のはずの相手も平気で煽るこの積極性(傍若無人)、中々お目にかかれるモノではない。浅海がピクピクと震えているのにも、鷹合は全く気付いていない。
「おう!みんな!卯羽目タイガースから来た、鷹合廉太郎やでっ!よろしくなっ!」
「……?」
「……タイガースって何?」
自分の番が来てハキハキと自己紹介したは良いが、教室の中では?マークが沢山飛び交った。
「え?何?みんなタイガース分からんの?タイガーって虎やで、虎。がおーっ」
想定外の反応の悪さに鷹合は戸惑い、自分なりの説明を加えて両手の爪
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ