高校一年
第三話 どうしてここへ?
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も、草野球から甲子園目指そうってのにしても、純粋すぎて笑っちまうよ」
宮園はクスクスと意地悪そうに笑う。
笑われてばかりの翼は、しかし自分でも無茶苦茶をしてる自覚はあったので、何も言い返せなかった。
「まぁ、安心しろよ。ここの練習は案外楽だし、それなりに体力さえあれば3年間続けられるさ。週一でちゃんとオフもあるし、あんまり遅くまでやらないし、上下関係なんてユルユルだからな。」
「え?ここの野球部、強いんじゃなかったのか?」
翼にとって、この宮園の話は意外だった。
スポーツ推薦のある私学なんて、木凪地区ではバリバリの強豪校しかないので、てっきり三龍の野球はかなり強いものだと思っていた。
「そこそこって所だな。だいたいベスト32か16で負ける。強いっていう程のモンじゃない。」
「でも昨日、浅海先生はお前らは鍛え甲斐がありそうとか言ってたし、それに越境入学してくる奴も居るじゃないか」
「確かに、額面だけ見れば、俺たちの同級生はまずまず良いよ。上手くいけば、“ベスト4には入れる”かもしれないな。」
上手くいって、それでもベスト4かと、翼は思わずには居られなかった。そこまで「甲子園」というものは厳しく、可能性が低いものなのか。
「そもそも、この三龍という学校は学力も普通、部活動も普通、そんな中途半端な学校なんだよ。特徴がない。そんな学校にわざわざ遠くから、自分で好き好んでやってきたお前は本当変わってるよ。」
「…そこまで言う宮園は、じゃあ何で三龍に来たんだよ?」
自分自身の中でも少しずつ大きくなってきている「何でここに来たんだろう」という気持ちを思い切り逆撫でされた翼は、イライラしながら宮園に問い返した。宮園は、今度は自嘲気味の笑顔を見せた。
「ま、俺も中途半端なヤツだって事だな。俺に特待生の誘いくれたのは三龍だけだったし。それに…」
宮園は列が進んでいる事に一瞬気づかず、慌てて一歩を踏み出しながら語る。
「浅海先生が居るからな。普通、高校が中学生相手にやる練習会なんて、参加した中学生を褒めちぎるモンなのにあの人ときたら、俺のプレーにこれでもかって程ダメ出ししやがって、まぁ腹が立つ腹が立つ。何が腹が立つって、だいたい図星だから腹が立つ。このままヨソには行けねぇなってその時思ったんだよ。絶対見返してやるって。」
翼は意外な気がした。
会った時から、基本的に上から目線で、尊大で余裕があった宮園が、今は少し「熱く」なっていた。それは話の中身ではなく、表情で分かった。本当に悔しそうな顔をしていたのだ。
宮園はそんな翼の視線に気づいたのか、コホンと咳払いして、いつもの顔に戻した。
「ま、ボチボチやろうぜ。喋ってみたら、俺もお前も、よく分からん理由でよく分からん学校に入ったってのは一緒みた
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